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第12話「長谷川千雨の憂鬱」

side 真一


 今日は3学期の終了式。今は晴れた空の下をルームメイトの直哉と登校している所だ。

「今日は近衛さんたちと待ち合わせしてないんだ?」
「ああ。てかいつも一緒に行ってるわけじゃないし」
「そうなの?」
「直哉が朝練で早く出るときとかくらいだって……あれ、お前の部活の先輩じゃないか?」

 そう言いつつ前方を指した。

「本当だ! 英子先輩……すまん真一、ちょっと先に行くわ」
「あいよ、学校でな」

 直哉は意外と積極的なんだよな。
 もう早く告っちゃえばいいのに。
 まあ……俺に言えた事じゃないか。


 そうして一人で歩いていると、本を読みながら歩いている眼鏡を掛けた女の子がいた。

「おはよー、千雨さん」
「ん、ああ真一か、おはよー」
「明日から春休みだけど、千雨さんは何処か行ったりするの?」
「少し実家に戻るくらいで、後はいつも通りだな」

 千雨さんのいつも通りというのはネトゲやったり、コスプレして取った写真をネットにアップしたりとかだ。


 そうして話しながら歩いていると、後ろからネギ先生たちが走ってきた。

「おはようございます。えーと……長谷川さん!真一さん!」
「おはよーやね、しんちゃんに千雨ちゃん」
「おはよー」
「はよー♥ 2−Aでも、特に目立たない方の千雨ちゃんまで覚えてるなんて、教師の鑑っ」
「いえっ、あの……」

いやいや、先生なんだから生徒の名前覚えるくらい当たり前だろ。
このちゃんたちは挨拶したら、ささっと行ってしまった。

「——ったく、遅刻でもないのに、何元気に走ってんだ、あいつ……ガキかっての……」
「千雨さん本音でてるよ」
「お前しか聞いてないから、別にいいだろ」
「ホント俺の前じゃ取り繕わなくなったよね」
「ま……お前には趣味とかも知られちまってるしな。今更だろ」

 千雨さんとはこんな感じで良好な関係を築けている。



side 千雨


 現在、3学期終了式の真っ最中で、学園長先生が話している所だ。

「フォフォフォ、皆にも一応紹介しておこう——新年度から正式に本校の英語科教員になるネギ・スプリングフィールド先生じゃ。ネギ先生には4月から『3−A』を担任してもらう予定じゃ」

 なっ……何い~~っ!?
 ありえないだろ~っ!?


 とりあえず終了式も終わり教室へと戻ってきた。

「というわけで2−Aの皆さん、3年になってからもよろしくお願いしまーす!!」
「よろしくネギ先生ーっ♥」
「先生こっち向いてこっちーっ」
「ほら見て見て~っ、学年トップのトロフィー!」
「おお~っ、みんなネギ先生のおかげだねーっ」
「ネギ先生がいれば中間テストもトップ確実だーっ♥」

 えっ……!?
 何故!?

「万年ビリの2−Aがネギ先生を中心に固い団結でまとまったのが期末の勝因! クラス委員長としても鼻が高いですわ。今後とも私たちクラス一同よろしくお願いします、ネギ先生」

 ちっ……違うだろ~!?
 あのガキ何もやってないじゃん!
 つーか一日授業サボってたくせに……
 ——てかその前にそんな10歳のガキが担任教師になっていーのかよオイ!?
 労働基準法違反だろっ!? 誰か突っ込めよーっ!!

「ハイッ、先生ちょっと意見が!」
「はい、鳴滝さん」
「先生は10歳なのに先生なんて、やっぱり普通じゃないと思います」

 おっ!?
 よーしよし、やっぱそうだよな。
 やるじゃないか、双子のツリ目の方……もっと言ってやれ。

「えーと……」
「それで史伽と考えたんですけど——」
「「今日、これから全員で『学年トップおめでとうパーティー』やりませんか!?」」
「おーそりゃいいねえ!」
「やろーやろー♥じゃ、ヒマな人は寮の芝生に集合ー」

 ガクッ。
 前フリとカンケーないだろ、それはっ!?
 何、みんなで大喜びしてんだ!?
 私はこのクラスのこーゆー所にもついて行けねーんだよっ!

「——ん? どーしたんですか、長谷川さん寒気でも……?」
「いえ、別に……」



side ネギ


「——ちょっとおなかが痛いので帰宅します」
「え……あ、ちょっ……」
「ああ、千雨さんですか。いつもああですから、放っといてもいいです、ネギ先生」
「それより寮行ってパーティー始めよ、ネギ君」

 長谷川さん……
 クラスになじんでないのかな……?
 彼女も僕の生徒なんだから、なんとかしてあげたいな。



side 千雨


 あ゛ー、イライラする!?
 ホントあのノリにはついて行けねーぜ。
 メンバーにも突っ込みどころ満載だしよ……
 き、極めつけは、あの子供教師!! 10歳ってなんだよ~!?
 ムキ~ッ!! あたしの普通の学園生活を返せ~っ!!


 私の周りには常識人はアイツしかいねーのかよ。
 アイツ今何してんだろ……電話してみるかな。



side 真一


 prrrrr prrrrr
 あれ、千雨さん?
 どうしたんだろ?

『もしもし、千雨さんどうしたの?』
『……特に用があったわけじゃないんだけどさ、今どうしてるかと思ってさ』
『俺はまだ学校だよ。今、春休みの事話してるトコ』
『あのさ、今日ってヒマかな?』
『うーん、とりあえず今の所暇だけど』
『じゃあさ、今日私の部屋来ないか?』
『えっ!? 部屋って女子寮でしょ? 不味いんじゃ……』
『大丈夫だって、許可取っておくからさ。前にPC教えて欲しいって言ってたろ?』

 なんか珍しく強引だな。
 何かあったのか……まあ、どうせ暇だしいいか——。

『わかった。それじゃ帰りにそっち寄るから許可申請よろしく~』
『了解。また後でな』

 電話を切って、携帯の画面を見ると、一通のメールが来ていた。
 このちゃんからか……

『これから寮の芝生でパーティーやるんやけど、しんちゃんのクラスも一緒にやらん?』

 あれ!?
 千雨さんもこのちゃんのクラスだったよな……
 うーん……大方、クラスのノリについて行けなかったとかだろか。
 いつもぼやいてるからな……
 でも、クラスの輪からあんまり外れるのもダメだよな。
 うんっ、決めた!
 あんまりお節介焼くのも良くないだろうけど、これくらいいいよな。
 そうしてメールを返しつつ、クラスの連中に声を掛け始めた。



side 千雨


 よしっ、それじゃ準備しないとな……
 それで寮に向かおうとしたら後ろから声がかかった。

「は……長谷川さーん」

 げっ!?
 子供教師……
 こいつどうやって追いついたんだ?
 学校からの電車には乗ってなかったけど……

「何か用ですか?」
「ハァハァ、あ……あの……さっきおなか痛いって言ってたので。これ、おじいちゃんからもらった超効く胃腸薬です。おひとついかがですか……?」

 アホかこいつ……
 てか、この容器怪しすぎるんだけど。
 ドクロマーク付いてるし、ゲームなら毒状態とかのアイコンじゃねーか……

「結構です。もー治りましたので」
「あ、あのパーティーに来ないんですか……?」
「私、ああいう変人の集団とはなじめないんです。帰るので、ついて来ないでください」
「そ、そうですか? みんな普通だと思うけど……」

 どこがだよっ!?
 つーかオメーが一番変なんだよっ!!
 くっ……まずい。また、震えが……
 早く帰って真一を待とう。
 ……その前にストレス発散しとくか。
 私は寮監に申請して部屋へと向かった。

「あ、待って! やっぱり寒気がするんですか?」
「しません!」
「じゃあ、えと……ア、アルコール中毒だとか!?」
「私は未成年です!!」

 バタンッ
 よし逃げ切ったな。

 違うだろっ!
 フツーの学生生活はこうじゃないだろっ!!
 ハァハァ……
 こ、この理不尽さを社会に……大衆にうったえてやるっっ!!
 愛されるとはどーゆーことか……あのガキに教えてやるわよーっ!!


〈ちうのホームページ〉

『おハロー(*▿*)qみんな元気ー!? ——今日はと~っても嫌なことがあったよん(><)iうちのクラスの担任が変態でー!! ちうに色目使ってくるんだよう』

ちうファンHIRO > 許せねえ!何だその男?
通りすがりB > 俺らがブチのめしてやろうか、ちうタン。
アイスワールド > でも気持ちは分かるよな~。ちうタン美人だし~。

『え~?そんなことないよぉ~♥』

 フフフフ……
 ほら見なさい男ども、私のニューコスチュームを……

 よし、来た来たー!
 ネットアイドルでもぶっちぎり一位!!
 私は女王なのよ!
 いずれはNET界のNo.1カリスマとなって……
 全ての男たちが、私の前にひざまずくのよー!

 あの邪魔くさい子供教師とて同じこと、私の足元にも及ばないわ。
 くっくっくっ……
 表の世界では目立たず、騒がず、危険を冒さず、リスクの少ない裏の世界でトップを取る!

 ――それが私のスタンス!!

「———ん?」
「…………」
「ギャー!?」
「あ……スミマセン。ドア空いてたので……」

 何でコイツがここに!?
 み……見られた……!?
 私の秘密をこのガキに……!?
 あ……あああ、も、もうダメだ……
 私の秘密の趣味がバレたら学校中の生徒に後ろ指指されて笑われて――

2−A変人集団にようこそ♪変人さんいらっしゃ~い♥』

 なんてことに……くっ、消すしかない!
 もはやコイツを殺るしか。な、何か凶器、鈍器は……

 ピンポーン♪
 誰だ、こんな時に……
 って、真一か……早く着替えなきゃ。

「長谷川さん誰か来ましたよー」

 おいおい……勝手に開けるなよ!!



side 真一


 お、開いたな。

「お邪魔します、千雨さん。って、あれネギ先生!?」
「真一さんも長谷川さんに用事ですか?」
「そうですけど……っ!?」

 千雨さん……何でバニー?
 アップ用の写真でも取ってたのか?

「真一……忘れろ……つーか見るなぁー! 着替えるからちょっと出てろー!!」
「は、はいっ!ほらネギ先生も」

 ネギ先生の居る理由とかを聞いて、ちょっと協力することにした。
 そうしてネギ先生と部屋の外に出て待つこと数分——恥ずかしそうな千雨さんが部屋から顔を出した。(服装はお出かけ用っぽい私服だ)

「いいぞ、入れ」
「「お邪魔します」」
「って、何で先生まで入ってくるんだよっ!」
「いいじゃないですか。さっきから気になってたんですけど、これ長谷川さんです!? キレイですねー」

 まあまあと、千雨さんを宥めているとネギ先生が近づいてきた。

「すみません」
「あっ!? コ、コラ!私のメガネ」
「わー♥ホントにキレイ! 素顔もキレイですねー」
「俺も前言ったでしょ。素顔の方が可愛いって」
「なっ」
「さ、行きましょう、長谷川さん。みんな、すぐ下の芝生でやってますよパーティー♪」

 そう言うとネギ先生は走り始めた。

「な、何いってんだ。私のメガネ返してよー」
「えへへ、ダメですよー」
「ほら千雨さん追いかけましょ」
「うう~、真一ぃ……アイツ捕まえてよう……」

 やばい、眼鏡無しでちょっと弱気な千雨さん可愛い。
 そうしてネギ先生を追いかけながら、寮の外へと出た。



side 千雨


「でも、もったいないなー。何でそんなにキレイなのにメガネで隠してるんですか?」
「わ、私、ダメなんだよっ! メガネつけず人と会ったりするのは……それにパーティーとか嫌いだし、部屋に一人でいるのが性に合ってんだ! 返してって!」
「えー、そうなんですか? で、でも今日くらいはいいんじゃないですか? だってほら、今日はこんなにいい天気ですよ」

 え……眩しい……

「………」
「ね♥」
「………」

 何か、意地はってるのがバカらしくなってきたな。
 ま、今日くらいは変人たちに付き合ってやるのもいいか……
 2−Aの最後の日だし、それに今日は真一もいるしな♪

「ほら、行こう千雨さん」
「仕方ねーな。今日は特別だぞ」

 私たちは走り始めた、みんなのいる桜の木の下へと――



side 真一


 うちのクラスで来てるのは、いつものメンバーと数人か……
 誘ったのHR終了して、解散した後だったからこんなもんか。

「悪い悪い遅れた」
「真一遅いよ~。俺たちだけじゃ、場が持たないよ~」
「そうか……? カミやんは割と馴染んでるっぽいけどな……お前らも行けばいいだろ」
「「俺たちじゃレベル不足だよ」」

 同い年なんだから、普通に話しかければいいのにな……

「アオやん、それは一般男子生徒には意外とキツイもんだぜい」

 心を読むなよ土帝。

「ところでアオやん、さっき一緒に来たあの女の子は誰かにゃー」
「どっかで見たことある気がするんだけどなー」
「ア、アレは……」
「どうしたんだぜよ、蒼髪ピアス」
「アレはまさか……No.1ネットアイドルのちうタンやないか」

 忘れてたーっ!!
 あのホームページ見つけたの蒼髪だった!!

「え……気のせいじゃないか?」
「いいや、気のせいやない! ボクの眼は誤魔化せんでー! ちうタ~ン」

 ル〇ンジャンプ!?(服は脱いでないが)
 撃ち落とす!!

「はあああああっ」
「げぶっ!?」

 蒼髪は錐もみ回転しながら吹き飛んで行った。悪は滅びた……

「もー、ひどいやんけ。ボクやなかったらケガしてたで」
「お前タフすぎんだよっ!土帝手を貸せ!!」
「仕方ないな、アオやん奴を止めるぞっ!!」

 今、バカ蒼髪ピアスを止めるための戦いが始まった。



side 千雨


「遅れてスミマセンー」
「バ、バカ、コラ引っ張るなよ」

 な、なんでコイツこんな力が強いんだ?
 ていうか、真一は男子の方に行っちゃったし、どうすりゃいいんだよー。

「遅いよ、先生ー」
「あれー? 誰、そのカワイイ子は?」
「わー、ホントにカワイイー♥」
「まさか先生の秘密の恋人とかー?」

 やっぱり、恥ずかしいよ~。
 真一は……あのバカ私の事忘れてるんじゃないか?

「ちょっとネギ、その子もしかして…………」
「ちょっと先生!や、やっぱり返してよ、メガネ!」
「あっ……あぶ」
「ん?」
「は……は……」
「げっ……」



side 真一


 向こうが騒がしいな。
 千雨さんうまくやってるかな?
 って、ネギ先生くしゃみしそうになってるし!?

「蒼髪スマン。ハッ」

 蒼髪のタフさを信じて、思い切り吹き飛ばした。
 ネギ先生の方へ向かって――

「はくしゅ「あべしっ」」
「きゃあ!?」
「ピクピク」
「ごめんごめん、ネギ先生ケガはない?」

 ピクピクしてるし、蒼髪は放っておけば復活するだろ。
 くしゃみを物理的に止めたおかげで武装解除魔法は暴発しなかった。

「はい、僕は大丈夫です」
「びっくりしたなー、しんちゃん何やってたん?」
「ナイスよっ! 真一君」
「やっぱり真一は強いアルね。私と勝負するアルよ」
「すごーい、今の10mくらい飛んでたよ♪」
「マグレですよ、マグレ」
「あ、ありえねえ……」
「…………って、アレ? あんた長谷川じゃ……・?」
「ち、ちがっ」
「ホントだ。千雨ちゃんだーっ」
「違うっ!!長谷川なんて女は知らねーっ!!一切関係ないってばーっ」


 千雨さんも少しは馴染めたみたいだ。……馴染めてるよな?

 こうして3学期は終わり、春休みが始まった。
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非公開コメント

>これ、おじいちゃんからもらった超効く腹痛薬です。
超お腹が痛くなる薬www

>いいや、気のせいやない! ボクの眼は誤魔化せんでー! ちうタ~ン
む……何やら同志の臭いが……w


ちうたんの地の文で♪が使われててニヤニヤした。真一依存症に向けてまっしぐらですねw

2話更新お疲れ様です~。

>なおぽんさん

>超お腹が痛くなる薬
髑髏マーク付いてますし、あながち間違いじゃないかもww
原作読み直して此処は直そうと思ってたんですが抜けてました。胃腸薬に直しておきます。

蒼髪は多分なおぽんさんの同志ですよw
「ロリ“が”好きなんやない……ロリ“も”好きなんや」とか言う人ですしww

千雨とちうでは意図的に文体を変えてますので、楽しめたなら良かったです。
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Author:アイン
小説家になろうでも活動中のアインです。趣味で書いた小説をまったり載せていきます。

よろしくお願いします。

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