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第5話「境界の橋崩壊事件 その後」

side 真一


 あの日から一週間ほどたった。
 この一週間、俺と刹那は刀子さんに反省文書かされたり、橋の補修のために麻帆良大土木建築研で強制労働ボランティアさせられたりした。
 まあ後者の方は建築関係の知識があるわけでもないので資材運びや雑用だったからいいトレーニングだった。
 橋を壊した張本人であるエヴァンジェリンさんはというと……。
 逃げようとしてタカミチさんに捕まって反省文をかかされ、「なんで私が……」とか言いながらも律儀に奉仕活動してたらしいです。(茶々丸さん談)

 学園都市内に侵入してきた術者は頑なに口を割らないそうだが、術式からいって恐らく関西呪術協会の術者だろう。
 彼らが今後どうなるのかは、彼らを捕縛した俺たちを含め魔法生徒には伝わっていない。
 たぶん関東魔法協会か、さらにその上のメガロメセンブリア政府の裁量で裁かれるのだろう。

 一般生徒には橋が壊れたのは工学部の極秘の実験の失敗が原因と伝えられていて、学園全体に張り巡らされている認識阻害魔法の効果か、麻帆良学園生徒の気質かはわからないが、

『工学部の実験の所為なら仕方ないな』

 みたいな感じで何故か受け入れられている。
 中には神条みたいに「可笑しいとは思うけど、いつもの事だろ」という奴もいたが大多数の生徒はあまり気にしてないようだ。
 まあ魔法生徒以外でこのことを正しい認識している人がいたら、その人は納得できないだろうな


 そして強制労働ボランティアも昨日で終わり今日から自由の身だ。
 今日の放課後にはエヴァンジェリンさんの家に招待されている。やっと奴等の事を聞けるんだな。

 教室に着くと三バカデルタフォースの周りが騒がしかった。近づいてみると、良く分からないが何かもめてるようだった。

「おはよー、何かあったのか」
「おはよー、真一も見ればわかるぜ」

 蒼髪の携帯を見ると女の子写真のページが開かれていた。

「これはボクが最近お気に入りのネットアイドルのページなんやけど、そんでいつかこの子の時代が来るっていうてたところなんや」
「ふーん、ちうのホームページ……ちうちゃんね、確かに可愛いな。それで何でもめてたんだよ?」
「そうやろ、でもつっちーがロり分が足りない言い出したんや。こんな何着ても似合う子なんてそんなにおらんのに」」
「ロリこそが至高。それが真実なんだにゃー、蒼髪ピアス。この偉大なるロリの前には、バニーガールだの新体操のレオタードだのスクール水着だの、そういった小さな小さな衣服の属性など消し飛ばされてしまうんだぜい。つまり結論を言うとだな、ロリは何を着せても似合うのだからロリが最強という事だにゃーっ!!」

 明け透けに自分の性癖を語る土帝の姿に、ついつい閉口してしまう。ここまでオープンだと逆に男らしいような気が……。いやいやいや、気のせいだな。危なく土帝ワールドに引き込まれる所だったよ。

「真一、いつもの事だから気にするなよ。この三人は事あるごとに女子の好みについて討論してんだよ」
「オイオイ、俺まで入れるなよ直哉」
「え、でもカミやんも寮の管理人さんみたいな年上のお姉さんタイプがいいってよく言ってるじゃない」
「それは言ってるかもしれないが、今日は俺の机で言い合いだしただけじゃねえか」
「土帝はロリ、カミやんは年上のお姉さん、直哉は確か同じ部活の先輩の……」
「なんか俺だけ少し具体的に言おうとしてない!?」
「それはみんな知ってるんだぜい」
「そうやな」
「ああ」
「それで蒼髪は?」
「よくぞ聞いてくれたやんか。ボクはこのちうタンもええんやけど、それだけやのうて落下型ヒロインから、義姉義妹義母義娘双子未亡人先輩後輩同級生女教師幼なじみお嬢様金髪黒髪茶髪銀髪ロングヘアセミロングショートヘアボブ縦ロールストレートツインテールポニーテールお下げ三つ編み二つ縛りウェーブくせっ毛アホ毛セーラーブレザー体操服柔道着弓道着保母さん看護婦さんメイドさん婦警さん巫女さんシスターさん軍人さん秘書さんロリショタツンデレチアガールスチュワーデスウェイトレス白ゴス黒ゴスチャイナドレス病弱アルビノ電波系妄想癖二重人格女王様お姫様ニーソックスガーターベルト男装の麗人メガネ目隠し眼帯包帯スクール水着ワンピース水着ビキニ水着スリングショット水着バカ水着人外幽霊獣耳娘まであらゆる女性を迎え入れる包容力を持ってるんよ?」
「そうなんだ……って何でもいいってことじゃん!! それに明らかに女の子じゃないのが混ざってたよなっ!!」
「アオやんがペースみだされるなんて珍しいにゃー」
「ところで真一はどんな人がタイプなんだ?」
「そうだよこの際だから真一も言っちゃいなよ。女子2−Aの神楽坂さん、雪広さん、幼馴染の桜咲さん、それとも近衛さん?」
「なんで俺だけ名指しなんだよ!?」
「赤くなったにゃー♪きっとその中にいるんだぜい」
「女子2−Aの子ばっかり選択肢に出るなんて羨ましいぜ。はぁ…俺も出会いが欲しい」
「それはカミやんのセリフやないんちゃうか(怒)」

 いつものように神条が自分の鈍感さを分かっていない発言をして、激しいツッコミを入れられている。
 それから俺の好きな子を聞くのは流れたようだが、女子2−Aでは誰が好みかというクラス中を巻き込んだ騒ぎに発展し収拾がつかなくなった。
 その時、教室の入口が開いた。

「静かになさいっ!!! もうチャイムなったわよ! なんだ真一……まだ反省が足りなかったようね。それから神条、土帝、蒼髪、春日! 放課後私のところに来なさい。逃げたら……わかってますね」
「「「「「不幸だーーーー」」」」」

 俺たちは、放課後刀子さんの所に行き、終電近くまでO・HA・NA・SHIされていた。
 みんな、すまん……。
 蒼髪だけはどこか嬉しそうに見えたがきっと気のせいだな。
 今日もエヴァンジェリンさんの家に行けなかった……。
 明日はいけるといいけど……。



side 千雨


『学園都市と外部をつなぐ橋が壊れたって話聞いた~』
『ああ、それ工学部の実験の失敗で壊れたってやつでしょ』
『そうそう、すごいよね』
『流石は工学部って感じ~』

 おいおい、おかしいだろ~。
 あのでかい橋が壊れたんだぞ……。
 流石は工学部じゃねーよ!?
 ありえないだろっ!?
 前から思ってたがこの麻帆良学園都市は変わってる……というか、おかしいだろっ!?
 その中でも特にこのクラス……
 一年の頃から思ってたけど……
 異様に留学生が多いし、何かデカいのやら、幼稚園みたいのやら……。
 極めつけはあのロボ娘!!
 何で誰も突っ込まないんだよー!?
 耳とか、関節とか、どー見てもロボだろ!?ロボ!!
 は~イライラする。
 まずい……また、震えが…………。
 早く帰ろう、こういう日はアレに限るぜ。


「よしっ、オッケー♡今日もちうは綺麗だぴょーん♪」

 普段は目立たぬ女子中学生!
 だがその裏の素顔は!!
 インターネット界を牛耳るスーパーハッカーにしてNo.1ネットアイドル!!
 長谷川千雨さまとは私の事だ!!!
 ほら見なさい男ども、今日も私のびぼーを。
 ああ……至福の時……何て気持ちいいの……。


 ふぅ、だいぶすっきりしたぜ。
 後はネトゲでもやって寝るか~。
 今日はアイツ来てるかな…
 アイツ……何にもわかってないド素人のくせにやたら好奇心旺盛というか、行動力あるというか……。
 見てないと何するかわからないやつだからな。
 仕方ないから面倒見てやってるんだが、この一週間くらい来てないんだよな……。
 もう飽きちゃったんのかな……

『シン(真一)さんがログインしました。』

 おおっ、今日は来たな……。って、べ、別に嬉しくなんてないんだからなっ!
 はぁ…………誰に言い訳してるんだか……。


 ここからは個人チャットだよ☆だから他の人には見えてないよ♪会話風に書かれてるけど実際とはちょっと違うよ♫

『あ、ちうさん。お久しぶりです』
『よう、久しぶりだな。もう飽きたのかと思ったぞ』
『違いますよ。橋壊れたじゃないですか。あれの修理に駆り出されてたんですよ』
『お前土木建築研のやつだったのか?』
『いえ、ただのボランティア……です』
『おい大丈夫か?何か疲れてるみたいだけど……』
『大丈夫ですよ。今日は精神的に疲れたんで息抜きしようと思ってきたんですから』
『ならいいけどよ。なあ、この事件のこと、どう思う?』
『どうって、(エヴァンジェリンさんが)ありえないとは思ってますよ』
『そうだよな!! よかった麻帆良にもまともな奴がいたんだな』
『なんだかよくわからないけど、ありがとうございます?』
『うんうん、やっぱ現実リアルはこーじゃないとな。今度現実でも会えないかな』
『え、いいですけど……』
『私は女子中等部の長谷川千雨だ。よろしくな』
『俺は男子中等部の青山真一です。よろしくお願いします』
『よしっ、それじゃLv上げに行こうぜ』
『頑張りましょう!!』

 麻帆良に来て初めてまともな奴と知り合えたな。
 思わず名乗っちゃったけど大丈夫だよな……割と無害そうなやつだしな。
 青山真一か……フフッ、今日は久しぶりにスッキリして眠れそうだぜ。



side 真一


 昨日はゲームは楽しかったな。ちうさんは何かすごく嬉しそうだった気がする。何か良い事でもあったんだろうか?
 ちうさんか……そういや昨日蒼髪に見せてもらったネットアイドルも“ちう”って名前だったな。いや、まさかね。ネットゲームだし、ハンドルネームだよな。本名は長谷川千雨って言ってたしね。

 それで今日は何事もなく学校を乗り切ることができ、今は放課後で刹那と二人でエヴァンジェリンさんの家に来ている。

「貴様何で昨日は来なかった? もう罰則は終わっていたはずだろ」
「昨日は学校の方で色々ありまして……刀子さんに捕まってました」
「そうか私の所に来ることより、そっちを選んだというわけだな」

 エヴァンジェリンさんの声は、少し怒気をおびたような声色だった。確かに約束を反故にしたのは悪かったけどさ。刀子さんの呼び出しを無視したりしたら、他の四人にも迷惑が掛かるし、その後が怖すぎる。

「すみません。俺以外にも被害が及びそうだったので……」
「ふんっ……まあ、今回だけは許してやろう」
「マスターは昨日『おいアイツはまだ来ないのか?』とずっと青山さんを気にして居られました」
「ちゃ、茶々丸、余計なことは言わんでいい」

 茶々丸さんの発言に動揺した姿からは、あの破壊を引き起こしたのと同一人物だとは思えないだろう。どこから見ても幼い見た目相応の一人の女の子だ。
 
「あの魔法を放った人と同一人物とは思えませんね」
「だよな。俺なんて一瞬殺されるかと思ったくらいなのに……」
「んんっ、それで貴様は私に聞きたいことがあると言っていたな」
「はい……」

 やっと…………やっと5年前の、あの時のアイツらについて聞けるかも知れない。
 調べても調べても何も出てこなかったアイツらのことが……。

 頭にぎるのは炎の記憶――何も出来なかった無力感。母さん達が助けてくれたらしいけど、あの状況から、俺がどうやって生き延びたのかは分からない。絶望と何も出来なかった自分への怒り。それがあの時の最後の記憶だ。
 思い浮かべた記憶から負の感情に染まりそうだった頭を切り替える。そして改めてエヴァンジェリンさんの方へ向き直った。

「エヴァンジェリンさん…貴方は燃える様な紅い髪で炎の魔法を使う『吸血鬼の真祖ハイ・デイライトウォーカー』とその従者を知っていますか?」
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土帝wwww水着ワロタwwwww
アルビノは良いよね。あの儚げな感じがたまらないよね(何。

ちうっちが案外アグレッシブwwこうして彼女は自ら渦中に飛び込んでいくのだよ……。

動揺するエヴァたん萌えーwキレて暴力に訴えない辺りが好感触かw

>なおぽんさん

アルビノいいですよねー(え
守ってあげたくなるというか、そんな感じで。

この作品のちうは巻き込まれ系ヒロインなのですよ。……あ、原作でもそうかww

エヴァって、何だかんだと言いつつ、意外と人付き合い好きだと思うんですよね。
でもプライド高いから自分からは連絡取ったりしないという。
一見クールに見えて、予想外の事態に慌てたりする姿が可愛いんですww

No title

 なおぽんさんの所から辿ってきました。

 原作の長谷川千雨は不可思議を観測する読者側の視線に立ったキャラクターじゃないかと考えたり。
 電子戦でプロ顔負けの腕にはビビりましたけどねw
 青山真一君のアカウント情報チェックの為にハッキングしたりはしないでしょうけど。

>ランカーランスさん

初めまして。作者のアインです。

ああ、確かにそういう解釈もできますね。
電子戦以外においては、日常の象徴(=一般人視点)みたいな部分もありますしね。

流石にハッキングまではしませんよww
はは……うん、しないはず……

よろしければ、今後も見に来てくださいね。
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Author:アイン
小説家になろうでも活動中のアインです。趣味で書いた小説をまったり載せていきます。

よろしくお願いします。

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