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第6話「対話とそれからの二ヶ月」

side エヴァンジェリン


「エヴァンジェリンさん……貴方は燃える様な紅い髪で炎の魔法を使う『吸血鬼の真祖ハイ・デイライトウォーカー』とその従者を知っていますか?」

 やはり聞きたいこというのはそのことだったか。

「ああ、知っているよ。初めに言っておくが奴らが今どこに居るかはわからんぞ」
「構いません。エヴァンジェリンさんは五年前のことを知っているんですよね?」
「ああ、貴様の師匠の詠春から聞いているよ」
「これは師匠にも母さんにも伝えてないことですが、奴らは去り際に俺と刹那に言ったんです。『運命は必ず私たちを巡り合わせる。その時は眷属にしてあげる』と、よくわかりませんが確信めいた口ぶりで適当な事を言ってるように思えなくて」
「それは恐らく奴の能力の一つ、予知に近い直感能力だろうな。お前らに何か感じるものでもあったんだろ」
「そういうことですか。なら尚更いずれまた出会うかもしれない敵の事を知っておきたいんです」

 ふむ、意外に冷静だな。
 父親を目の前で殺されたと聞いていたのだがな。少し突いてみるか。

「ずいぶん冷静だな。もっと恨みに囚われた復讐者かと思っていたぞ」
「あの事件の直後はそうでした。奴らをこの手で殺したくて力を求めていました。だけど刹那や母さんたちのおかげで俺は変われた……その闇に囚われた心を克服できたんです」
「そうか、わかったよ。約束だし、ちゃんと教えてやるよ」
「ありがとうございます」
「一度しか言わないからな。真祖の方はクリスティーナ・フォン・ヴァルトシュタイン。従者の方はその眷属でクラウス・ハイドフェルト。こいつらは対価次第で殺しだろうが、盗みだろうが請け負う何でも屋だ」


 ただの復讐者なら面倒だし話したらすぐ帰らせるつもりだったが……詠春にも頼まれてるしなぁ。
 ええいっ、報酬の京菓子の誘惑に負けたわけじゃないからな。本当だぞ。



side 真一


「真一、貴様は氷の魔力しか使えないのか?」
「え、ええと制御できるのはそうです。あとは光と雷も適正があるとは言われてるんですけど、制御できないんで戦闘では封印してます」
「見せてみろ」
「ここでですか? たぶん暴発しますよ」
「かまわん、ここにいるメンバーなら死にはしないだろ」
「屋根とか吹き飛んでも知りませんよ!! 雷よ我が手に力を」
「は!? 待て家を壊され……」
「はああぁぁ……あっ」

 やっぱり暴発したか……。
 テーブルが掻き消えただけだし良しとしよう。

「いいわけあるかぁー!!」
「心を読まないでくださいよ」
「大体貴様は……(以下略)」
「真一さん、また派手にやりましたね」
「マスター落ち着いてください。私は新しいテーブルを注文しておきます」
「ハァハァ、ああ頼む。おい真一、光の魔力も似たようなものか?」
「そうですけど、使ってみましょうか?」
「もう大体分かったからいらん。どうやら氷よりも光と雷の方が相性がいいらしいな」
「確かに威力はあるんですけどね、この精度じゃ使い物になりませんよ」
「私は貴様が望むなら鍛えてやってくれと詠春から頼まれているがどうする?やる、やらないは貴様の自由だ」

 どうしようか?
 いや……もう決まってるのか。
 これから先『英雄の息子』もこの学園都市に来るんだ。
 何が起こるかわからない。
 何か有った時に必要な力がなければ守りたい者も守れないんだ。
 戦闘能力だけじゃ駄目なこともあるだろうけど…・
 今は大切な人達を守るための力が欲しい。

「エヴァンジェリンさん、よろしくお願いします!!」
「アハハハハハハハッ、よかろう…ならば我が弟子として私が直々に鍛えてやろう!!我が配下に連なる化け物モンスターにふさわしい立派な戦士……悪の中ボスにな!!!」
「エッ!?」
「尚、修行中の貴様の服は常に黒の燕尾服に蝶ネクタイとする!!!」
「何でさっ!!!」
「うるさい師匠命令だ」
「真一さん、似合うと思いますよ(想像中)」
「刹那までっ! 茶々丸さんは反対ですよね!?」
「私も似合うと思います」
「3対1だ、決定だな。では準備もあるから明日から始めるぞ」

 こうして俺はエヴァンジェリンさんの弟子となった。
 余談だが刹那も偶に参加するわけだがその時の服装はメイド服という事になり、反論していたが「うるさい授業料だ!!」とバッサリ切られていた。
 刹那のメイド服姿はすごく似合っていて可愛かったな。



side 刹那


 次の日、私は再び真一さんとエヴァンジェリンさんの家を訪れていた。

「入れ、こっちだ」

 地下室?
 地下でどんな修行をするのだろうか?
 真一さんが魔力制御に失敗したら生き埋めになるんじゃないか。

「これの前に立て」
「「はい」」

 球の前に立つと足元に魔法陣が浮かび上がり、私たちは転移していた。

「ここはダイオラマ魔法球の中の私の別荘だ」
「へえ、此処あの球の中なんですか?」
「そうだ。此処での1日は外での1時間に相当する。あと入ったら24時間は出られないから覚悟しておけよ」

 つまり此処では通常空間の24倍の効率で修行できるというわけか。

「言い忘れたが女にはあまり勧めないぞ。歳を取るからな」
「え!?」
「何だ刹那、文句があるのか?」
「いえ、そういうわけでは…」
「なあに、まだ若いんだし1日くらいじゃどうにもならんさ。始めるぞ、刹那はアッチで茶々丸達と組手でもしていろ」
「達? ですか」
「まあ行けばわかる」

 真一さんと別れて、茶々丸さんと指示された方に向かうと、小さな人形が動いているのが見えた。人形使いドール・マスターの能力で動いているのだろうか?

「ケケケケ、オ前ガ刹那カ? 遊ンデヤルゼ」
「人形!? いえ、エヴァンジェリンさんの従者ですか」
「ご紹介します。彼女は私の姉に当たるチャチャゼロ姉さんです」
「ヨロシクナ」
「よろしくお願いします」

 私は、もっと強くならなくてはと思いながら二人と組手を始めた。



side エヴァンジェリン


「真一、お前はとにかく魔力制御だ。一応基礎くらいは習ってるんだろ?」
「はい、剣術の補助程度の呪術に、抵抗レジストくらいですけど」
「よし、それじゃ障壁を教えてやる。気を使う剣士でも覚えておいて損はない」
「はい」

 まずは魔力の扱う事に慣れさせよう。
 此奴は気と魔力を併用する能力に長けている。
 光と雷の魔力が使えるようになれば、それだけでもかなりの戦力アップに繋がる筈だ。
 そしてゆくゆくは『気と魔力の合一シュンタクシス・アンティケイメノイン』を……。
 ――究極技法アルテマ・アート『咸卦法』を習得させてやるぞ。
 フハハハハハッ!



side 真一


 俺の修行の日々が始まった。
 平日は、ほぼ毎日二時間つまり二日分の修行を行い、休日は三時間つまり三日分の修行をしていた。
 ちなみに冬休みは休日プランだった。

 そうして二ヶ月が経った。
 この二ヶ月は12月、1月ということもあって、修行以外にも様々な出来事があった。
 まずはクリスマスは、このちゃんの部屋でのクリスマスパーティーに誘われた。
 初めは少人数でのパーティーだったはずなのだが、途中から参加者が増え宴会とかしていた。
 最終的には寮に残っている女子2−Aメンバーがほとんど集まり、俺は超アウェー気分だったけど、基本的に気さくでノリのいい人たちなので、すぐに打ち解けることができた。
 まあ、男一人だったからすげー弄られまくったけどな。
 宴会は朝まで続き、次の日に自分の部屋に戻ろうと外に出たら見覚えのある三人が対侵入者用のトラップらしき物に引っ掛かってギャーギャー騒いでいるのに遭遇した。
 しかたないので、次は連れて行く約束をして宥めて、寮へと連れ帰った。

 正月はみんなで初詣に龍宮神社に行った。
 今回は三バカデルタフォースも一緒だったが騒ぎすぎて巫女服を着た龍宮さんに沈められていた。

 それから新学期が始まって、ちうさんにも会うことができた。
 その時の様子は。

◆◆ ◆◆ ◆◆ ◆◆

「長谷川千雨だ。よろしくな」
「青山真一です。こちらこそよろしく」

 千雨さんと対面したとき、既視感デジャビュに襲われていた。

「何だよ? 私の顔に何か付いてるか」
「いや、そうじゃないんだけど、何か何処かで見たことある様な気がして」
「気の所為だろ。ネット以外で会うのは初めてのはずだしな」
「うーん、そうなんだけど……あっ!!」
「どうした?」

 千雨さんの顔を良く見ていると、蒼髪達が見ていたネットアイドルの『ちう』のホームページの存在に思い至った。そこで、携帯でそのページを開いて千雨さんに見せてみた。

「これです」
「…………」

 ホームページを見せると、千雨さんは見るからに狼狽して青ざめていた。怪し過ぎる。失礼だとは思うがメガネの無い顔を見たい衝動のままに千雨さんのメガネへと手を掛ける。

「ちょっと失礼します。……って、アァァッー!?」
「終わりだ……」
「千雨さんって、このちうさんと同一人物だったんですね」
「お前なんでこのページのこと知ってるんだよ?」
「うちのクラスでも話題になってましたから」
「そうなんだ。嬉しいけどお前には知られたくなかったな。頼む他の人には黙っててくれ」
「いいですよ」
「うん、そうだよな……。って、即答かよっ!!」
「千雨さんとは友達ですからね。頼まれなくても黙ってるつもりでしたよ」
「ありがとな! ああ、真一は思ってた通りのいい奴で良かった」
「ありがとうございます。でもそれ伊達眼鏡だよね? 俺は眼鏡かけてない方が可愛いと思うよ」
「な……何言ってんだよ。バーカ」

◆◆ ◆◆ ◆◆ ◆◆

 という感じだった。



 そして今日は『英雄の息子』の赴任前日だ。


「『エクスキューショナー・ソードエンシス・エクセクエンス』」
「神鳴流決戦奥義 真・雷光剣!!!」

 断罪の剣と強力な電撃を帯びた剣が激突した。冷気と相転移の波動と広範囲に亘る電撃の波動は数秒間拮抗し、両者とも掻き消えた。

「フン、まあこんな所だろ。最後の一撃を通常の神鳴流で受けたのは気に入らんがな」
「ありがとうございました」
「いいか、確かに貴様は魔力の制御もうまくなったし、私達三人掛かりでの組手にも対応できるようになってきたが、まだまだ悪の中ボスへの道は始まったばかりだからな。これからもしっかり励めよ」
「はい、今後も御指導よろしくお願いします」
「よしっ、今日の稽古は終わりだ。……明日から気を付けろよ」


 俺はエヴァンジェリンさんの家を出て帰路についた。
 明日はついに『英雄の息子』ネギ・スプリングフィールドが赴任する日だ。
 明日の朝、このちゃんと明日菜さんが駅まで迎えに行くことになっているらしいんだが……何となく心配だ。

 よし俺もついて行こう。
 そう思い、携帯を手に取りこのちゃんへと電話を掛けた。
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第5話「境界の橋崩壊事件 その後」

side 真一


 あの日から一週間ほどたった。
 この一週間、俺と刹那は刀子さんに反省文書かされたり、橋の補修のために麻帆良大土木建築研で強制労働ボランティアさせられたりした。
 まあ後者の方は建築関係の知識があるわけでもないので資材運びや雑用だったからいいトレーニングだった。
 橋を壊した張本人であるエヴァンジェリンさんはというと……。
 逃げようとしてタカミチさんに捕まって反省文をかかされ、「なんで私が……」とか言いながらも律儀に奉仕活動してたらしいです。(茶々丸さん談)

 学園都市内に侵入してきた術者は頑なに口を割らないそうだが、術式からいって恐らく関西呪術協会の術者だろう。
 彼らが今後どうなるのかは、彼らを捕縛した俺たちを含め魔法生徒には伝わっていない。
 たぶん関東魔法協会か、さらにその上のメガロメセンブリア政府の裁量で裁かれるのだろう。

 一般生徒には橋が壊れたのは工学部の極秘の実験の失敗が原因と伝えられていて、学園全体に張り巡らされている認識阻害魔法の効果か、麻帆良学園生徒の気質かはわからないが、

『工学部の実験の所為なら仕方ないな』

 みたいな感じで何故か受け入れられている。
 中には神条みたいに「可笑しいとは思うけど、いつもの事だろ」という奴もいたが大多数の生徒はあまり気にしてないようだ。
 まあ魔法生徒以外でこのことを正しい認識している人がいたら、その人は納得できないだろうな


 そして強制労働ボランティアも昨日で終わり今日から自由の身だ。
 今日の放課後にはエヴァンジェリンさんの家に招待されている。やっと奴等の事を聞けるんだな。

 教室に着くと三バカデルタフォースの周りが騒がしかった。近づいてみると、良く分からないが何かもめてるようだった。

「おはよー、何かあったのか」
「おはよー、真一も見ればわかるぜ」

 蒼髪の携帯を見ると女の子写真のページが開かれていた。

「これはボクが最近お気に入りのネットアイドルのページなんやけど、そんでいつかこの子の時代が来るっていうてたところなんや」
「ふーん、ちうのホームページ……ちうちゃんね、確かに可愛いな。それで何でもめてたんだよ?」
「そうやろ、でもつっちーがロり分が足りない言い出したんや。こんな何着ても似合う子なんてそんなにおらんのに」」
「ロリこそが至高。それが真実なんだにゃー、蒼髪ピアス。この偉大なるロリの前には、バニーガールだの新体操のレオタードだのスクール水着だの、そういった小さな小さな衣服の属性など消し飛ばされてしまうんだぜい。つまり結論を言うとだな、ロリは何を着せても似合うのだからロリが最強という事だにゃーっ!!」

 明け透けに自分の性癖を語る土帝の姿に、ついつい閉口してしまう。ここまでオープンだと逆に男らしいような気が……。いやいやいや、気のせいだな。危なく土帝ワールドに引き込まれる所だったよ。

「真一、いつもの事だから気にするなよ。この三人は事あるごとに女子の好みについて討論してんだよ」
「オイオイ、俺まで入れるなよ直哉」
「え、でもカミやんも寮の管理人さんみたいな年上のお姉さんタイプがいいってよく言ってるじゃない」
「それは言ってるかもしれないが、今日は俺の机で言い合いだしただけじゃねえか」
「土帝はロリ、カミやんは年上のお姉さん、直哉は確か同じ部活の先輩の……」
「なんか俺だけ少し具体的に言おうとしてない!?」
「それはみんな知ってるんだぜい」
「そうやな」
「ああ」
「それで蒼髪は?」
「よくぞ聞いてくれたやんか。ボクはこのちうタンもええんやけど、それだけやのうて落下型ヒロインから、義姉義妹義母義娘双子未亡人先輩後輩同級生女教師幼なじみお嬢様金髪黒髪茶髪銀髪ロングヘアセミロングショートヘアボブ縦ロールストレートツインテールポニーテールお下げ三つ編み二つ縛りウェーブくせっ毛アホ毛セーラーブレザー体操服柔道着弓道着保母さん看護婦さんメイドさん婦警さん巫女さんシスターさん軍人さん秘書さんロリショタツンデレチアガールスチュワーデスウェイトレス白ゴス黒ゴスチャイナドレス病弱アルビノ電波系妄想癖二重人格女王様お姫様ニーソックスガーターベルト男装の麗人メガネ目隠し眼帯包帯スクール水着ワンピース水着ビキニ水着スリングショット水着バカ水着人外幽霊獣耳娘まであらゆる女性を迎え入れる包容力を持ってるんよ?」
「そうなんだ……って何でもいいってことじゃん!! それに明らかに女の子じゃないのが混ざってたよなっ!!」
「アオやんがペースみだされるなんて珍しいにゃー」
「ところで真一はどんな人がタイプなんだ?」
「そうだよこの際だから真一も言っちゃいなよ。女子2−Aの神楽坂さん、雪広さん、幼馴染の桜咲さん、それとも近衛さん?」
「なんで俺だけ名指しなんだよ!?」
「赤くなったにゃー♪きっとその中にいるんだぜい」
「女子2−Aの子ばっかり選択肢に出るなんて羨ましいぜ。はぁ…俺も出会いが欲しい」
「それはカミやんのセリフやないんちゃうか(怒)」

 いつものように神条が自分の鈍感さを分かっていない発言をして、激しいツッコミを入れられている。
 それから俺の好きな子を聞くのは流れたようだが、女子2−Aでは誰が好みかというクラス中を巻き込んだ騒ぎに発展し収拾がつかなくなった。
 その時、教室の入口が開いた。

「静かになさいっ!!! もうチャイムなったわよ! なんだ真一……まだ反省が足りなかったようね。それから神条、土帝、蒼髪、春日! 放課後私のところに来なさい。逃げたら……わかってますね」
「「「「「不幸だーーーー」」」」」

 俺たちは、放課後刀子さんの所に行き、終電近くまでO・HA・NA・SHIされていた。
 みんな、すまん……。
 蒼髪だけはどこか嬉しそうに見えたがきっと気のせいだな。
 今日もエヴァンジェリンさんの家に行けなかった……。
 明日はいけるといいけど……。



side 千雨


『学園都市と外部をつなぐ橋が壊れたって話聞いた~』
『ああ、それ工学部の実験の失敗で壊れたってやつでしょ』
『そうそう、すごいよね』
『流石は工学部って感じ~』

 おいおい、おかしいだろ~。
 あのでかい橋が壊れたんだぞ……。
 流石は工学部じゃねーよ!?
 ありえないだろっ!?
 前から思ってたがこの麻帆良学園都市は変わってる……というか、おかしいだろっ!?
 その中でも特にこのクラス……
 一年の頃から思ってたけど……
 異様に留学生が多いし、何かデカいのやら、幼稚園みたいのやら……。
 極めつけはあのロボ娘!!
 何で誰も突っ込まないんだよー!?
 耳とか、関節とか、どー見てもロボだろ!?ロボ!!
 は~イライラする。
 まずい……また、震えが…………。
 早く帰ろう、こういう日はアレに限るぜ。


「よしっ、オッケー♡今日もちうは綺麗だぴょーん♪」

 普段は目立たぬ女子中学生!
 だがその裏の素顔は!!
 インターネット界を牛耳るスーパーハッカーにしてNo.1ネットアイドル!!
 長谷川千雨さまとは私の事だ!!!
 ほら見なさい男ども、今日も私のびぼーを。
 ああ……至福の時……何て気持ちいいの……。


 ふぅ、だいぶすっきりしたぜ。
 後はネトゲでもやって寝るか~。
 今日はアイツ来てるかな…
 アイツ……何にもわかってないド素人のくせにやたら好奇心旺盛というか、行動力あるというか……。
 見てないと何するかわからないやつだからな。
 仕方ないから面倒見てやってるんだが、この一週間くらい来てないんだよな……。
 もう飽きちゃったんのかな……

『シン(真一)さんがログインしました。』

 おおっ、今日は来たな……。って、べ、別に嬉しくなんてないんだからなっ!
 はぁ…………誰に言い訳してるんだか……。


 ここからは個人チャットだよ☆だから他の人には見えてないよ♪会話風に書かれてるけど実際とはちょっと違うよ♫

『あ、ちうさん。お久しぶりです』
『よう、久しぶりだな。もう飽きたのかと思ったぞ』
『違いますよ。橋壊れたじゃないですか。あれの修理に駆り出されてたんですよ』
『お前土木建築研のやつだったのか?』
『いえ、ただのボランティア……です』
『おい大丈夫か?何か疲れてるみたいだけど……』
『大丈夫ですよ。今日は精神的に疲れたんで息抜きしようと思ってきたんですから』
『ならいいけどよ。なあ、この事件のこと、どう思う?』
『どうって、(エヴァンジェリンさんが)ありえないとは思ってますよ』
『そうだよな!! よかった麻帆良にもまともな奴がいたんだな』
『なんだかよくわからないけど、ありがとうございます?』
『うんうん、やっぱ現実リアルはこーじゃないとな。今度現実でも会えないかな』
『え、いいですけど……』
『私は女子中等部の長谷川千雨だ。よろしくな』
『俺は男子中等部の青山真一です。よろしくお願いします』
『よしっ、それじゃLv上げに行こうぜ』
『頑張りましょう!!』

 麻帆良に来て初めてまともな奴と知り合えたな。
 思わず名乗っちゃったけど大丈夫だよな……割と無害そうなやつだしな。
 青山真一か……フフッ、今日は久しぶりにスッキリして眠れそうだぜ。



side 真一


 昨日はゲームは楽しかったな。ちうさんは何かすごく嬉しそうだった気がする。何か良い事でもあったんだろうか?
 ちうさんか……そういや昨日蒼髪に見せてもらったネットアイドルも“ちう”って名前だったな。いや、まさかね。ネットゲームだし、ハンドルネームだよな。本名は長谷川千雨って言ってたしね。

 それで今日は何事もなく学校を乗り切ることができ、今は放課後で刹那と二人でエヴァンジェリンさんの家に来ている。

「貴様何で昨日は来なかった? もう罰則は終わっていたはずだろ」
「昨日は学校の方で色々ありまして……刀子さんに捕まってました」
「そうか私の所に来ることより、そっちを選んだというわけだな」

 エヴァンジェリンさんの声は、少し怒気をおびたような声色だった。確かに約束を反故にしたのは悪かったけどさ。刀子さんの呼び出しを無視したりしたら、他の四人にも迷惑が掛かるし、その後が怖すぎる。

「すみません。俺以外にも被害が及びそうだったので……」
「ふんっ……まあ、今回だけは許してやろう」
「マスターは昨日『おいアイツはまだ来ないのか?』とずっと青山さんを気にして居られました」
「ちゃ、茶々丸、余計なことは言わんでいい」

 茶々丸さんの発言に動揺した姿からは、あの破壊を引き起こしたのと同一人物だとは思えないだろう。どこから見ても幼い見た目相応の一人の女の子だ。
 
「あの魔法を放った人と同一人物とは思えませんね」
「だよな。俺なんて一瞬殺されるかと思ったくらいなのに……」
「んんっ、それで貴様は私に聞きたいことがあると言っていたな」
「はい……」

 やっと…………やっと5年前の、あの時のアイツらについて聞けるかも知れない。
 調べても調べても何も出てこなかったアイツらのことが……。

 頭にぎるのは炎の記憶――何も出来なかった無力感。母さん達が助けてくれたらしいけど、あの状況から、俺がどうやって生き延びたのかは分からない。絶望と何も出来なかった自分への怒り。それがあの時の最後の記憶だ。
 思い浮かべた記憶から負の感情に染まりそうだった頭を切り替える。そして改めてエヴァンジェリンさんの方へ向き直った。

「エヴァンジェリンさん…貴方は燃える様な紅い髪で炎の魔法を使う『吸血鬼の真祖ハイ・デイライトウォーカー』とその従者を知っていますか?」

第4話「闇の福音」

side 真一


 次の日、昨日彼女たちと出会った場所へと行ってみた。
 すると今日はエヴァンジェリンさんは居らず茶々丸さん一人だ。

「こんにちは、茶々丸さん」
「こんにちは、青山さん……」
「今日も餌やってるんだね?」
「はい、私の日課のようなものですので……」
「今日も手伝ってもいいかな?」
「……どうぞ」

 手伝いを申し出ると、お許しを貰えたので一緒に猫に餌をあげる事にした。


side 茶々丸


 どうしてこの方は何も聞いてこないんでしょうか?
 昨日のマスターの言葉を聞き逃していたんでしょうか?
 いえ、そんなはずはありません。
 戦士であるこの方がそんなヘマするわけありません。

「あの…何も聞かないのですか?」
「聞かないよ。じゃあ逆に聞くけど俺がエヴァンジェリンさんについて聞いたら答えてくれる?」
「いえ、私には答えかねます」
「そうでしょ。無理矢理聞き出してもいいけど……そんなことしたらもうここで、君と話したり一緒に猫に餌をやることもできなくなる……。俺はそんなのは嫌だな」
「…………」

 何でしょうこれは……動力部が熱いです。
 故障したのでしょうか?

「よし、終わりかな。それじゃエヴァンジェリンさんにもよろしく伝えておいてよ。またね」
「はい……さようなら」

 ……治まりました。
 なんだったのでしょうか?
 今度ハカセにメンテナンスして貰わなければなりません。



side 真一


 茶々丸さんと別れて寮に向かっているところだ。
 通学路に差し掛かるとと駅方面から刹那が歩いてきているのが見えた。

「刹那! 今帰りか?」
「あ、真一さん。はい、今から帰るところです」
「それじゃ、寮まで一緒に帰ろう」
「かまいませんよ」

 そうして刹那とともに帰路へとついた。

 ん、そういや刹那の着てる制服……。あのエヴァンジェリンって子と同じだな。ちょっと聞いてみるか。

「刹那、お前エヴァンジェリンって子知ってるか?」
「え……はい、エヴァンジェリンさんなら同じクラスですが……彼女がどうかしたんですか?」
「ああ、ちょっと話す機会があってな……何故か俺が神鳴流剣士だと知ってたんだ。もしかして彼女は魔法関係者なのかな?」
「ええ。魔法先生と私や龍宮のような一部の生徒しか知りませんが彼女は魔法関係者です」
「彼女は何者なんだ?」

 俺のその質問に対し、刹那は閉口した。話せないようなことなのだろうか?

「答えたくないなら答えなくてもいいよ、自分で調べるからさ」
「条件があります。彼女と次に会うときは私も連れて行ってください!」
「それくらい別にいいけど、どうして俺が彼女と会おうとすると思ったんだ?」
「彼女の正体を知れば、たぶん彼女に聞きたいことができるはずだからです」
「……わかった、約束するよ。彼女と会うときは必ず刹那を連れて行く」
「落ち着いて聞いてくださいよ。彼女は、エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルは『闇の福音ダーク・エヴァンジェル』――――『吸血鬼の真祖ハイ・デイライトウォーカー』です」
「…………そうか。『闇の福音』か、道理で聞いたことある名前なわけだな」
「真一さん……」
「大丈夫だよ、刹那。ありがとね」
「えっ!?」
「本当は俺が『吸血鬼の真祖』に会うのが心配だったんだろ。それに彼女は奴じゃないしね」
「それじゃあ明日私が接触してみますから、約束を破って一人で行かないでくださいよ」
「了解、相棒」

 そうか、彼女は吸血鬼の真祖だったか……。なら奴等について聞いてみないとな。


side 茶々丸


「茶々丸、明日これを青山真一に渡してくれ。私はじじぃの所に行って来るからな」
「はい、マスター……あの、私も戦わなければ駄目でしょうか?」
「ん、どうした?」
「私にもよくわかりませんが、あの方と……青山さんとは戦いたくはないのです」
「まあ、いいだろう。別に青山真一を殺すために戦うわけではないしな」
「いいのですか?」
「ああ。詠春から頼まれているのもあるが、私はあいつが自分よりも強い相手とどう戦うか見たいだけだ。見込みがなければそれまでだがな」

 よかったです。
 …………あ、またです。
 あの方のことを考えると何故か動力部が熱くなります。
 やはり故障してしまったのでしょうか?



side 真一


 今は一夜明けて木曜の放課後だ。
 俺は刹那と落ち合うべく世界樹前広場で待っているところだ。

「「お待たせしました」」
「って、なんで茶々丸さんも!?」
「昨日言った通り接触してみようと思ったのですがエヴァンジェリンさんが休みで……その……」
「マスターは今日はサボりです。それで私がマスターからのお手紙をお持ちした次第であります」

 差し出された手紙にはこう書かれていた。

『明日22時学園都市と外部の境界の橋にて貴様を待つ。
           エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル』

「境界の橋……なんでそんなところで?」
「マスターは『あれくらい広ければ思い切りできるだろ。フハハハハ』とおっしゃってました」
「つまり戦えってことか」
「はい、立会人は私がお引き受けします」
「わかった」
「茶々丸さん私も行くぞ」
「了解しました。それではマスターにはそう伝えておきます」

 茶々丸さんはそう言うと、ペコリとお辞儀をして去って行った。




 次の日、現在時刻は21時半だ。

「行くぞ刹那」
「はい、でも無茶しないでくださいね」
「わかってるって。絶対に刹那の所に戻ってくるよ」
「は、はいぃっ!!」
「?」
「そ、それじゃあ行きましょう」

 刹那と落ち合い決戦の場所へと歩き出す。
 そして、境界の橋に着いた。

「フハハハハハ、よく来たな青山真一、桜咲刹那」
「ああ『闇の福音』」
「何故ここに呼んだかはわかっているな」
「派手にやるためだろ」
「フフ、それじゃあ始めようか」
「待て! 俺はアンタに聞きたいことがある」
「問答は後だ。まずは私に認めさせてみろ!! 茶々丸!」
「はい。封印結界への電力停止確認——予備システムハッキング開始……完了しました」

 その時、エヴァンジェリンさんから巨大な魔力が吹き荒れた。
 刹那と茶々丸さんは魔力を感じた瞬間少し離れて行った。

「それではいくぞ。いきなり死んでくれるなよ。リク・ラク ラ・ラック ライラック」

 彼女は魔力を迸らせ、詠唱しながら突っ込んできた。

「来たれ氷精、爆ぜよ風精『氷爆ニウィス・カースス』」
「チッ」

 氷の爆発をバックスッテプで躱し『朝霧』を抜き放つが迫るエヴァンジェリンさんに魔力を込めた掌底を叩きこまれ吹き飛ばされた。
 水の上!!
 大橋の上から弾き飛ばされ、咄嗟に浮遊術を使うが次の魔法が迫っていた。

「リク・ラク ラ・ラック ライラック 闇の精霊101柱 集い来たりて、敵を貫け『魔法の射手サギタ・マギカ 連弾セリエス闇の101矢オブスクーリー』」
「くそっ……数が多い! 神鳴流奥義 斬空掌散!!! 落ちろぉーーーっ!!」

 上昇しながら闇の矢を撃ち落とし、虚空瞬動で後ろに回り込んだ。

「アハハハハ、やるなぁ。だが、まだまだ入りが甘い!!」
「消えた……後ろか!?」
「いい読みだが、上だよ」

 虚空瞬動二連!?
 声に反応して、何とか気を込めた剣で防御するも水の中へと叩き落された。
 そして水上へと上がるとエヴァンジェリンさんは上空で待ち構えていた。

「貴様この程度ではないだろう? どうした!? 己が力の全てを見せてみろ!!『氷神の戦鎚マレウス・アクイローニス』」
「でかいっ! 神鳴流奥義 極大・雷鳴剣!!! はああああああぁっ!」

 巨大な氷塊と雷撃を纏う剣が激突した。



side 刹那


 戦いの場が水上に移り、私は茶々丸さんと橋の上からそれを見ている。
 今、真一さんの雷鳴剣がエヴァンジェリンさんの放った氷塊を打ち砕き、エヴァンジェリンさんは電撃を防御している。
 それから戦闘は見るからに激しくなった。

「刹那さん、心配ですか青山さんのことが?」
「心配じゃないといったら嘘になりますけど、信じてますから……あの人は私の所へ無事に戻って来る言ってくれましたからね」
「……惚気ですか?」
「な!? 違いますよ!! 私はただ……ハッ」

 私は飛んできた矢を避けると飛んできた方向――橋の向こうを見た。
 そこに見えたのは鬼の軍勢だった。

「何っ!? これほどの数の鬼が何故学園に!?」
「おそらく私が学園結界を落としたのが原因です。すみません」
「う、それを言ったら私達全員共犯ですよ。それより茶々丸さん戦えますか?」
「はい、ですがこれほどの数二人だけでは……」
「今から応援を呼びます。幸い飛行型の式神はあの二人の方へ行ってくれましたから応援が来るまで何とか持ちこたえましょう」

 龍宮に連絡するべく携帯を手に取った。



side 真一


「リク・ラク ラ・ラック ライラック 来たれ氷精、闇の精!!闇を従え、吹雪け、常夜の氷雪 『闇の吹雪ニウィス・テンペスタース・オブスクランス』!!!」
「氷よ我が手に力を『朝霧・雪華』……神鳴流秘剣 極大・絶氷刃!!!」

 エヴァンジェリンさんの放った闇の波動を纏った吹雪は唸りを上げながら、激しさを増し俺へと迫る。その氷の魔力の波動に向けて、今使える最大限の氷の魔力を込めた刃放つ。飛翔した刃とエヴァンジェリンさんの魔法は俺とエヴァンジェリンさんの丁度中間位の位置でぶつかり合う。そして一瞬の拮抗の後、俺の放った刃が魔法を押し返し、斬り裂き始めエヴァンジェリンさんへと向かう。

「『氷楯レフレクシオー』」

 俺の技が魔法を斬り裂く。その刹那、エヴァンジェリンさんは反射的に楯の魔法で防ぐ構えを取っていた。直後氷の刃と氷の楯が激突する。
 刃の勢いと楯がせめぎ合う中、この瞬間に勝機を見出した。

 ――――ここを逃したらたぶん俺に勝ち目はない!!



side エヴァンジェリン


 私は『氷楯』で氷の刃を防御した。
 なかなかの技だな。
 私の楯とぶつかっても勢いが死んでいないぞ。
 奴は……
 空中での瞬動術――虚空瞬動の動作に入っているな。
 だがなそんな雑な瞬動からの攻撃が通用するはずないだろうがっ!

「バカか、そんな真正面からの雑な攻撃ただの的だっ!」

 雑な攻撃と思い、軽く合わせるように掌底でカウンターを狙うが、その攻撃は空を切った。
 掌底が外された!?
 虚空瞬動二連だと……あの雑な入りはフェイクかっ!
 あいつは先ほどの私がやってみせた連続での瞬動術を見事に吸収し、戦略に取り込んできた。この戦闘中にも着実に強くなっているということか。戦闘センスはあるようだな。

「後ろかっ」
「遅いっ!崩龍桜華斬!!!」

 氷の嵐の如き連撃が放たれた。その氷の嵐から感じられる圧力は、実際14歳の人間が放ったとは思えない程の威力が窺える。

 ――――だが私の魔法障壁は破れまい。



side 真一


 いけるっ! エヴァンジェリンさんは強い。その身に纏う真祖の魔法障壁は、確かに絶大な防御力を誇る。そう……神鳴流の真髄を体得した剣士以外には――――

「雪華解放…神鳴流奥義 斬魔剣 弐の太刀・一閃!!!」
「っ!?」

 氷の魔力の魔弾を目くらましに放ち、今できる最高の技で一閃した。それは神鳴流の宗家のみに伝承される魔を払う退魔の剣の真骨頂――――“斬魔剣 弐の太刀”。それを更に昇華させ一撃に全てを込める。その斬撃はどんなに強固な障壁であろうと突破し、実体を斬り裂く。それはエヴァンジェリンさんの真祖の魔法障壁であろうと例外ではない。朝霧の刃は障壁をすり抜け、エヴァンジェリンさんを肩口から袈裟に斬り裂いた。

「ッ……貴様ァ!」

 !?
 彼女の目の色が変わり、肩口から切り裂いた傷が一瞬にして修復した。

「忘れたか、私は『不死の魔法使いマガ・ノスフェラトゥ』だ!」

 エヴァンジェリンさんから今まで以上の魔力が溢れ、今までの人生で感じた中でもトップクラスの魔力の波動に俺は死を覚悟した。
 だけどエヴァンジェリンさんは動きを止めて、大橋の先――学園都市の出口の方を見ていた。

「フン、どうやら客のようだぞ、ほれ」

 指差された方を見ると飛行型の鬼がうようよと蔓延っていた。

「げ、こんな時に」
「狙われたな。大方、大停電の日程を知った関西呪術協会の強硬派の術者といったところか。真一、貴様のさっきの連続攻撃はなかなか良かったぞ。ギリギリ合格といったところだ」
「は、はい」
「フン、さっさと片づけるぞ!飛行型が……ざっと100体か真一、貴様は前衛だ。私の詠唱時間を稼げ!」
「ん、了解。エヴァンジェリンさん」

 前衛を任せてくれた……。
 少しは認めてくれたってことかな。
 そう思いながら敵の群れへ突撃した。



side 刹那


「神鳴流奥義 斬岩剣!!! 奥義 斬鉄閃!!! おぉおおおっ」

 不味いな…数が多すぎる。
 この物量、おそらく高位の術者が4人以上はいるな。
 茶々丸さんは……。
 囲まれてる!?

「神鳴流奥義 百烈桜華斬!!! 茶々丸さん大丈夫ですか!?」
「すみません、助かりました」
「いえ、ですが不味いですね。このままではいずれ抜かれます」

 この大橋を抜けられたら、学園都市は目と鼻の先だ。何とか持ちこたえなければ……。

「やあ。待たせたな、刹那」

 ドジュウウウ……!
 声と共に後方から飛来した銃弾で数体の鬼が貫かれた。

「龍宮か…助かる」
「拙者もいるでござるよ」
「楓さんもご助力感謝します」
「いやいや、困ったときはお互い様でござるよ」

 長瀬楓――彼女はクラスメイトの一人で、知り合った当時は魔法の存在こそ知らないようだったが、その変幻自在の忍術を駆使して戦い、その実力は私や龍宮とも並ぶ程だった。楓まで来てくれたのは有り難いな。

「他の人は居住区と世界樹周辺の防御を固めるそうだよ。高畑先生は今のエヴァンジェリンがいるなら大丈夫みたいなこと言っていたがどういうことだ」
「マスターは今能力制限なしの最強状態ですので…」
「そういうことか。それと葛葉先生からの伝言だが『刹那、真一。さっさと片づけて私の所まできなさい』だとさ」

 ヒィィッ!!
 真一さん、私達は次の朝日を拝めるのでしょうか?



side 真一


「シッ」
「『闇の吹雪ニウィス・テンペスタース・オブスクランス』!!! フン、空の敵は粗方片付いたな」

 鬼を袈裟切りにした所で残りをエヴァンジェリンさんが吹き飛ばした。やはり西洋魔術師の大火力は凄まじい物があるな。
 刹那達のいる大橋の方を見ると、まだまだ多くの陸戦型の鬼が闊歩していた。

「橋の方はまだウヨウヨいますね」
「そうだな……あれを見ろ」

 エヴァンジェリンさんが指差した方向を見ると、橋の上に召喚の光が見えた。

「あれは!?」
「奴ら魔力の続く限り召喚し続けるつもりだな。どうやら元凶を潰さないといけないようだな。行くぞ真一」
「わかりました」

 俺たちは元凶の術者たちの方へと向かった。



side 刹那


「神鳴流秘剣 百花繚乱!」

 直線状に気の刃を放ち敵を吹き飛ばす。もう何体の鬼を斬っただろうか? 終わりの見えない鬼の攻勢に辟易していると、隣で戦っていた楓が風魔手裏剣で敵を切り裂きながら話しかけてきた。

「ところでエヴァ殿と先ほど話に出ていた真一殿というお方はどちらでござるか」
「あれです。あの偶に光って見える所です」
「む、あの二人完璧に飛んでいるでござるな。拙者も修行を積めば飛べるようになるのでござろうか」
「はは、楓ならそのうち飛べるようになるさ」

 などと会話しながらも動きを止めることなく敵を切り裂き、撃ち抜き続けている。
 空を見ると二人は召喚の光の方へと向かっていた。

「どうやらもう少しで終わりみたいですね」

 真一さん、エヴァンジェリンさん頼みますよ。

「マスターが時間を忘れてなければいいんですが…」
「どういう事ですか?」
「はい、私がハッキングしたのは予備システムだけですので、停電が復旧するとマスターは最弱状態に戻ってしまいます」

 ――エヴァンジェリンさん……本当に頼みますよ。



side エヴァンジェリン


 術者に近づくと善鬼と護鬼が4体ずつこちらに向かってきた。詠唱の邪魔だっ!?

「真一はあの8体をやれ」
「げ、マジですか?」
「当たり前だ。それに私の方が数が多いぞ。術者7人に式神十数体だ」
「わかりましたよ。神鳴流秘剣 斬光閃・2連!!」
「さすがに学園内で殺すとじじぃがうるさいからな……これでいくか リク・ラク ラ・ラック ライラック」

 真一よく見ておけよ。
 これが私の……いや最強種『吸血鬼の真祖』の魔力だ!!

「ニンギルスの恩寵を以って、来たれ戦闘の洪水、『万物を破壊せし水の神鎚シャルウール』!!!」



side 真一


「——『万物を破壊せし水の神鎚シャルウール』!!!」

 8体目を切り裂いたとき、エヴァンジェリンさんの魔法が解放された。
 見た目は『氷神の戦鎚』と似たようなものだが、あの巨大な水球に込められた魔力は桁外れのものだ。
 放たれた水球は術師たちの足場――つまり橋に当たり橋の一部を支柱ごと抉り取り、さらに余波で護衛の式神を消し去り魔法障壁を破壊しつくし術者を吹き飛ばした。術者たちは為す術なく湖へと落ち捕縛魔法で捕らえられた。
 一応ピクピク魔法と動いているので、術者たちはどうやら死んではいないようだった。
 でもこれやりすぎじゃないのか橋壊れてるんだけど……。

「フハハハハ、見たか! これがわた……! きゃんっ」

 ……エヴァンジェリンさんが落ちていく。何やら可愛らしい声を上げながら。
 0時を回り停電が復旧したみたいだ。その影響で魔力が封じられたんだろう。

「おいっ、見てないで助けろっ!私は泳げないんだっ!!」
「っと、大丈夫ですか?」
「……ああ」
「今すごく必死でしたね。あんな焦ったエヴァンジェリンさん初めて見ましたよ。フフッ」
「ええ~い、ニヤニヤするなっ!」

 そうして顔をそむけるエヴァンジェリンさん……。
 それでも今はお姫様抱っこ状態なので赤く染まった頬がよく見える。
 不覚にも可愛いと思ってしまったが口に出すのは止めておこう。
 何か理不尽な暴力受けそうだしな、うん。

 学園都市側の陸地へと戻ると皆が待っていた。
 とりあえず学園都市の危機を救えてよかったな……。
 まあ自分たちで招いたようなものだけどな。

 そうして1日が終わ……らなかった……
 俺と刹那は刀子さんの所へと行き、待っていたのは阿修羅のようなお方だった。
 俺たちは朝まで正座だったとだけ言っておこう。
 そうして長い1日が終わった。



エヴァが水の魔法を使いましたが、この作品では
エヴァの魔法の適正は
「氷=闇>水>風>その他」という感じに設定してあります。

オリジナル技・魔法に関して簡単に説明すると

絶氷刃:氷の魔力を乗せた斬空閃
崩龍桜華斬:氷の魔力を乗せた百烈桜華斬

万物を破壊せし水の神鎚シャルウール
これはシュメル神話の戦闘と農業の神ニンギルスの持つ武器 神鎚シャルウルから考えたもので、シャルウルの名の意味は「すべてのものを破壊するもの」で、異名は「戦闘の洪水」と詠われるそうです。

今後もオリ技・魔法を出すと思いますが、温かい目で見守ってくれると幸いです。

第3話「日常・出会い・疑惑」

side 刹那


 真一さんの戦闘が終わり、私は龍宮と寮へと戻っている所だ。
 先ほどの戦闘について考えながら……。

「うーん」
「どうしたんだい、刹那?」
「さっきの戦いについて考えていたんだ」
「ああ、そういう事か。でも、さっきのはあまり参考にならなそうだな。全力で戦っていなかったしな彼は……」
「やはり分かるか」
「まあね。握手した時に感じた力はあんなものじゃなかったからね。でもそんなことを考えていたわけじゃないんだろ?」
「ああ、あの戦闘で本当の実力が測れるわけじゃないのに……。何か他の意図があったんじゃないかと思ったんだ」
「あの学園長ならそういう事もあるかもしれないな。でも彼なら大抵な事は大丈夫だろう」

 私もそう思うが何か嫌な予感がする。
 何もなければいいが……。



side 真一


 一夜明けて次の日、今日は何事もなく授業は終わり放課後になった。
 昇降口を出て、駅に向かっていると後ろから声を掛けられた。

「真一先輩っ!こんにちはー」
「こんにちは、真一さん」

 声の主は昨日の集会で戦った愛衣ちゃんと高音さんだった。

「あ、こんにちは」
「先輩、今日はお暇ですか?」
「え、うん。まあ暇だけどさ」
「それじゃあ行きましょうか。私たちについて来てください」

 二人に連れられて駅の方向へと歩きだした。
 そうして数分歩くと麻帆良駅前の“STARBOOKS CAFE”に着いた。

「ここですわ」
「“STARBOOKS CAFE”? ここって魔法関係の店だったの?」
「違いますよ。先輩何言ってるんですか?」
「……いや、二人に誘われたから何か魔法関係のことで話があるのかと思ってさ」
「それもないとは言いませんが、私達だっていつでも魔法生徒として行動しているわけではありませんよ」
「そうですよ、お姉様の言う通りです! 昨日は結局ほとんどお話できませんでしたから、今日は二人で誘いに行ったのですよ」

 それぞれ飲み物を買って席に着くと、昨日は戦っただけだったので改めて自己紹介をし合う。
 自己紹介からの流れで連絡先を交換したり、世間話をしたり、更には戦闘技能などについて話した。
 戦闘技能についてはこんなところで話してもいいのか? という気もしたが誰も聞いてないだろうし大丈夫だろう。
 愛衣ちゃんには、そのうち修行を見てくださいって言われたが、魔法は専門外なんだよな。何教えればいいんだろ? 瞬動術か? 色々話した結果、とりあえずは近接戦闘を見ることになった。
 それから昨日貸した制服を返して貰い、二人は今日警備の日らしく店を出た所で別れた。

 そろそろ帰ろうと駅で電車を待っていると、軽く肩を叩かれた。

「今帰りなの?」
「あ、明日菜さん。そうですよ、今帰るとこです」
「お知り合いですかアスナさん?」
「あ、紹介するわね。この人はこのかの幼馴染で青山真一君よ」
「まぁ、貴方が噂の青山さんですか。初めまして、私アスナさんたちのクラスメイトの雪広あやかと申します。よろしくお願いしますわ」
「これはご丁寧に、青山真一です。こちらこそよろしくお願いします」

 雪広さんか、なんだか話し方に気品を感じるしお嬢様っぽい人だな。
 というか女子2−Aって皆こんなレベル高い子ばかりなのか? 今まで出会った2−Aの子ってみんな可愛いんだが……。
 こりゃウチのクラスの野郎どもも騒ぐわけだな。

「せっかくだし、一緒に帰りましょ。いんちょもいいわよね」
「かまいませんわ」

 そんな訳で三人で寮へと帰える事になった。寮への道程での会話で、雪広さんは本当にお嬢様だという事が分かった。さらには、世の“お嬢様”に対するステレオタイプな見方だが高飛車で他人を見下すような事もなく、誰にでも分け隔てなく接することもできる非常に好感の持てる人だと感じた。




 そうして転校してから3週間が経った。
 そこで、この3週間を軽く振り返ってみるとしよう。

 学校の方は直哉や三バカデルタフォース――神条、土帝、蒼髪――のおかげでなんとかクラスにもなじめた。
 放課後や休みは図書館探検部に顔を出したり、刹那と稽古したり、愛衣ちゃんと訓練――魔法は専門外なので主に戦術面について――をしたり、直哉や三バカと街に出たりしていた。
 また、直哉の勧めで始めたMMORPG(俺のゲームでの名前はシンという)で危ない所を助けてくれた「ちうさん」という人と(ゲーム内での話だが)よく会話するようになった。

 ちなみに初めて会った時の会話こんな感じだ。

『アホか!?初心者がこのエリアに入ってくるなんて死ぬ気か!!』
『うう、すみません。助かりました、ありがとうございます』
『ちっ、しゃーねーな。街まで送ってやるからついて来いよな』
『よろしくお願いします』

 といった感じで、この後も見かけるたびに声かけてくれたりして非常に助かってます。いつもちょっと怒ったような話し方だけど、本当は面倒見がよくて優しい人です。何故か俺以外のプレイヤーには媚びるような話し方をするんだけど、それにツッコンだら怒られてしまった。良く分からないが、ゲーム内ではそういうキャラで通ってるらしい。
 ちうさんは麻帆良の生徒だとは聞いたけどまだ会ったことはない。

 あと学園の警備のほうは、当番の日に一度入り込んだ低級の鬼を倒した位で、それ以外は平和なものだった。

 とまあこんな感じでなかなか充実した3週間だった。


 そうして今日は11月最終週の火曜日だ。
 魔法関係者の集会の日で、俺は今放課後暇つぶしをかねてに学園都市内を気ままに散歩しているところだった。
 誰か誘ってもよかったんだが偶にはいいだろうと、気ままに歩いていたら女子二人が猫に餌をやっているところに出くわした。まあ見た感じ一人はもう一人が餌やり終わるのを待ってる感じだけどな。
 優しんだなと思うと同時に、二人の容姿に違和感を覚える。この場所は中学・高校の寮のあるエリアなわけだが……一人はどう見ても小学生くらいの容貌で、もう一人は耳? とかがロボットみたいな娘という、よく分からない二人組だった。まあ二人の事はともかく、とりあえず猫は可愛いな、癒される……。可愛いは正義とはこのことだな。
 そうして、二人の方―ー正確にはロボット耳の娘が世話をしている猫の事を見ていると、もう一人から声を掛けられた。

「おい、そこのお前何を見ている。私らは見世物じゃないぞ」
「あ、そういうつもりじゃなかったんです。気を悪くしたんなら謝ります……」
「…………フン、なら何か用か?」
「用があるわけじゃなくて、猫可愛いなって思ってただけだよ」

 いきなり声を掛けられるとは思わなかったな。それに、この小さい娘の方はなんか高圧的だな。

「あの、よろしければ(餌を)あげてみますか?」
「えっ、いいの!?ぜひやらせてください。あ、俺は青山真一っていいます」
「私は絡繰茶々丸です。よろしくお願いします。こちらはマスターの……」
「エヴァンジェリンだ」
「茶々丸さんとエヴァンジェリンさんね、よろしく」

 マスターってなんだろ? そういう遊びか何かだろうか? んー、エヴァンジェリンって何処かで聞いたことある名前のような気が……。ま、気にしても仕方ないし餌やろうか。

「ん、終わったな。帰るぞ茶々丸」
「はい、マスター。それでは失礼します」
「はいよ、また来てもいいかな?」
「私が飼っているわけではありませんから、いつでもどうぞ」
「ありがと、それじゃあまたね」

 バイバイと手を振り、俺も移動しようと彼女たちと逆方向へと歩き出したところで声が掛かった。

「……じゃあな。――――“神鳴流剣士”青山真一」
「————っ!?」

 “神鳴流剣士”――その言葉に慌てて振り返ったが、もうそこには誰もいなくなっていた……。何者なんだあの娘は?

 近くを探してみたが二人は見つからなかったので、集会の会場へと向かった。
 今回の集会もタカミチさんが司会を務め、何の問題も無く終了した。集会の内容を要約すると今週の金曜、つまり明日は20時から24時まで、年に二回の大停電だから暗闇に紛れてくる侵入者がいるかもしれないから注意しろというものだった。ちなみに大停電というのは年2回ある学園都市全体のメンテナンスのことらしい。

 でもこの学園都市に侵入する奴がいるんだろうか?



side 茶々丸


 マスターと家へと戻ってきました。
 でも青山さんが神鳴流剣士だと知っているのをバラしてしまって良かったのでしょうか?
 一人で悩んでいても仕方ありませんし、マスターに聞いてみましょう。

「あのようなことを言ってしまって、よろしかったのですか?」
「いいんだよ。これで奴は私の事を調べるなりして、私が『吸血鬼の真祖ハイ・デイライトウォーカー』だということに辿り着くはずだ」
「?」
「よくわからないって顔をしているな。奴にはな『吸血鬼の真祖ハイ・デイライトウォーカー』である私に聞きたいことがあるはずだからな。それを餌に誘き出して奴の力をみてやるのさ。フハハハハハハッ!!」

 ああ……こんなに楽しそうなマスターは初めてです。
 これは記録しなければなりません。

「ジー(録画中)」
「所で茶々丸、私の魔力を抑えこんでいる原因はわかったのか?」
「はい、予想通りサウザンドマスターのかけた『登校の呪い』の他に学園全体に張り巡らされている『結界』がありました。これは大量の電力を消費して維持しているようです」
「そうか、よくやったぞ茶々丸。しかし、魔法使いが電気に頼るとは盲点だったな。ハイテクというやつか?」
「私も一応そのハイテクですが……」
「……まあいい、おかげで満月を待たずして奴で遊べるわけだな。実行は今週末の大停電だ。フフ、フハハハハハ!!」
「ジー(録画中)」

 ……マスターが楽しそうでなによりです。

第2話「初登校と力試し」

side 真一


 一夜明けて次の日、俺はルームメイトの春日直哉――直哉と登校していた。
 俺は職員室に行かねばならないので少し早めに出たため、俺達は麻帆良の朝の名物ともいえるらしい通学ラッシュには巻き込まれていない。

「此処が職員室だよ」
「ああ、案内ありがとな」
「いいってことよ。それじゃまたあとでな」

 直哉は俺に手を振りながら教室へと向かった。
 さて、俺も行きますかね。最初が肝心と思い、気を引き締めて職員室の扉をノックして入室した。

「失礼します。転校してきた青山真一ですけど、2-Aの担任の先生はいらっしゃいますか?」
「来たわね真一。こっちよ」
「え……刀子さん!?」

声をかけてきた人は俺の剣の師の一人でもある葛葉刀子さんだった。

「久しぶりね。でも今はあなたの担任だから学校では先生と呼びなさい」
「ええっ!!刀子さ……先生が担任だったんですか?」
「そうだけど、同室の春日からは聞いてないのかしら?」
「聞いてないですよ。それは明日のお楽しみだとか言われて教えてくれませんでしたよ」
「まあそれはいいとするか。真一、明日の放課後23時に魔法関係者の集会がある。それにお前も参加してもらうぞ」

 あまりに普通に魔法関係の話をし始めたので、少し慌てながらヒソヒソと小声で話す。

「って、魔法とか普通に言っちゃって大丈夫なんですか?」
「大丈夫だ。今周りにいるのは魔法先生だけだし、認識阻害魔法も使ってある」

 刀子さんはそう言って隣の席の男性を指差した。
 どうやらその人が認識阻害魔法を使っているらしい。

「神多羅木だ。よろしくな青山」

 隣の席の男性はそう名乗った。
 神多羅木先生はオールバックの黒髪で髭を生やし、サングラスをかけ、黒スーツという非常にシブいお方だ。

「神多羅木先生ですか。よろしくお願いします」
「自己紹介も済んだな。さっき話した集会で今のお前の力を見せてもらうからそのつもりでいろ」
「わかりました。でもまさか刀子先生と戦うんですか?」
「いや私ではないな。魔法生徒の主従と戦ってもらうことになっている」
「主従…魔法使いと魔法使いの従者ミニステル・マギですか」
「ほう、意外と詳しいな」
「まあ、何度か西洋魔術師と戦ったこともありますからね」
「ふむ、お前がどれだけ成長したのか楽しみだな」
「む、葛葉そろそろ時間だぞ」
「あら、本当ね。それじゃ真一教室に行くわよ」
「わかりました」


 それから教室に行って、ホームルームでお決まりの自己紹介と質問タイムとなったわけだが割愛する。
 あまりの騒々しさに刀子さんのこめかみがぴくぴくしていたように見えたがまあ気のせいだろう。
 昼休みには校内を案内してもらった。
 あんまりひどい成績とると母さんに殺されるから心配していたんだが、1日授業を受けてみた感じどうやら授業にはついていけそうだったので一安心だ。

 そして放課後、昇降口を出ると人だかりができていた。
 その中に直哉を発見! さて何があったか聞いてみるとしますか。

「何かあったのか?」
「真一か。誰か待ってるのか女子校の子が来てるんだよ。しかも本校の2-Aの子なんだよ」
「へえ、この学校に彼氏とか友達でもいるのかな? 俺も見てみるかな」

 まずいことになった。
 あれは間違いなくこのちゃんだ。あとハルナさんもいる。
 落ち着け落ち着くんだ俺、たぶん昨日言ってた部活に誘いに来たんだ。
 ここをどう切り抜けようか。
 普通に出ていくのはやばいだろうな。

 とか思っていたら制服に入れていた携帯が鳴り出した。着信音が聞こえたのか、このちゃんと目が合い「しんちゃーん」と手を振ってきた。すると周りの男子達の視線が突き刺さり、直哉は全てを悟った顔で「ご愁傷様」と肩を叩いてきた。
 ああ、数分前の俺に「(マナーモードを)切るなーっ!!!」と斬岩剣をぶちかましたい気分だぜ。
 周りの視線が痛かったが何とかこのちゃん達の所にたどり着いた。

「とりあえず行こっか」

 三人で歩き始めると後ろから、

『あいつ誰だ』
『2-Aの転校生だよ』
『手早すぎだろ!!』
『明日は2-A裁判だな』

 とか聞こえてきた気がしたが、たぶん気のせいだろう(現実逃避)。溜息を吐いてこのちゃんを見ると「どしたん?」と首を傾げてた。ホント可愛い。その一方でハルナさんはニヤニヤこっちを見ていた。この顔は絶対確信犯だなこの野郎!


 二人に連れられ昨日とは違い図書館内部に入るみたいだ。
 中には昨日のパーティーにも来ていた宮崎さんと綾瀬さんがいた。

「こ、こんにちは」
「こんにちはです」
「こんにちはー。とりあえずついて来たんだけど、皆は何部なの?」
「よくぞ来てくれたね真一君。私達は――」
「図書館探検部やよ」
「このかー、私のセリフー」
「図書館探検部??」
「私が説明するです。図書館探検部はですね、図書館島と呼ばれるくらい広大な敷地に作られた図書館の半ば人外魔境と化した深部を調査する部なのです」
「今日は誰でも入れる部分を私達で案内しますよ」

 初めは探検? 人外魔境? ただ広い図書館じゃないの? って思ったけど、案内されてるうちに納得できた。

 例えば、図書館の名物らしい北端大絶壁というのがある。それは絶壁という名の巨大な本棚だった。しかも何故か上から水が流れて滝になっていた。うん、マジで意味がわからん。本棚に滝って、どうでもいいが滝の裏にある本とか読む奴いるんだろうか? 何の迷宮だここは!? いつかこの迷宮に挑戦する日が来るんだろうか?

「これで終わりやよ」

 案内されたのは、北端絶壁以外にも謎満載でツッコミどころの有り過ぎる場所ばかりだったが驚いてるうちに図書館案内は終わったらしい。
 今まで誰もおかしいと思わなかったのだろうか? それくらい不思議な場所だった。

「今度は一緒に探検するです」
「ええなーそれ、約束やでしんちゃん」
「はいよ、了解」

 図書館島を出て5人で帰路につき、女子寮の前で解散となり俺も帰ろうとしたところで声をかけられた。

「しんちゃん、ちょっとええか?」
「ん、どうした」
「あんな、せっ…ううん、やっぱやめとくわー」
「?そう、それじゃあ話したくなったらでいいよ」
「うん、ありがとなー」

 そうしてその日は別れた。


「ただいまー」
「お帰りー、もうすぐできるから待ってて」
「悪い、手伝うよ」
「いいって、いいって。もう趣味みたいなもんだからさ」
「そうか?じゃあ食器洗いくらいはやるよ」
「おう。よろしくな」

 料理を直哉にまかせテレビを見ながらくつろいでいるとプライベート用ではなく仕事用の携帯が震えた。それは刹那からのメールだった。

『こんばんは。明日、真一さんの剣を見れるのが楽しみです。あと警備の仕事で一緒になれたらよろしくお願いします。』

 これくらいならプライベート用でも大丈夫だろと苦笑しながら返信した。
 そうして転校初日が終わったのだった。あ、夕食は大変美味しかったです。



 次の日、学校では2-A裁判にかけられたり、3年のゴツイ先輩にからまれ返り討ちにしたりしたが概ね平和だった。

 あっという間に放課後になり、22時過ぎに刹那との待ち合わせ場所に向かう。待ち合わせ場所に着くと刹那の他にもう一人ギターケースを持った女の子がいた。

「刹那っ、お待たせ」
「こんばんは、真一さん」
「ところで隣の彼女は?」
「初めましてだね。私は龍宮真名。刹那のルームメイトで仕事仲間といったところかな。よろしく」
「神鳴流剣士、青山真一だ。こちらこそよろしくな」

 手を差し出されたので握手した。それだけで彼女が内に秘めた強さがわかった。でも、それは相手にも同様だったみたいだった。

「強いなあなたは。正直戦いたくない相手だね。戦場で敵にならないことを祈ろう」
「同感だな。」
「それじゃあ行きましょうか」



 集会の会場の広場に着くともうほとんどの魔法関係者が集まっていて、程なくして爺さんが前にでた。

「フォフォ、それじゃ始めるぞい」

 それだけ言ってすぐに爺さんは退いた。進行はどうやらタカミチさんに丸投げらしい。そして集会はつつがなく進み俺の名前が呼ばれ前にでた。

「神鳴流剣士、青山真一です。よろしくお願いします」
「真一君は今回ワシが呼んだわけじゃが、サムライマスターの弟子のその実力を見てみたいという声が多数あっての、そこでエキシビジョンマッチをやって貰うことなったのじゃ」
「それじゃ、真一君、高音君、佐倉君は準備を」
「「「はいっ!」」」


 試合を行う3人と爺さんだけが残り、他の人達は四方に散らばり障壁を張り始めた。

「審判はワシじゃ。勝敗は戦闘不能になるか、ワシが危険じゃと判断したら止めるからそのつもりでの。それでは試合開始じゃ」

 俺の麻帆良での初戦闘が始まった。


「青山さんあなたの実力見せてもらいますわよ。先手必勝です、愛衣。『影よウンブラエ』行きなさいっ!!」
「わかりましたお姉様。メイプル・ネイプル・アラモード ものみな焼き尽くす浄化の炎、破壊の主にして再生の徴よ」

 佐倉さんは詠唱を開始し、俺には高音さんの17体の影の使い魔が一斉に襲い掛かってきた。

 ――だが、遅いっ!
 俺は愛刀の野太刀『朝霧』抜き放ち迎撃した。

「神鳴流奥義 百烈桜華斬!!! ハァーーーーっ!!」

 舞い散る桜吹雪のような無数の気の斬撃で、全ての使い魔を斬り裂く。

「なっ、私の使い魔が一気に!?」
「我が手に宿りて、敵を喰らえ『紅き焔フラグランティア・ルビカンス』」

 お次は攻撃魔法か、でもこの威力ならこれで!

「神鳴流奥義 雷鳴剣!!!」

 その名の通り雷を剣へと落とし、雷撃を纏う斬撃が『紅き焔フラグランティア・ルビカンス』を押し切った。

「きゃっ、ならアデア……」

 そして、すぐさま瞬動を使い佐倉さんの後ろに回り込み、手刀で首筋を打ち意識を刈り取った。

「ッ……」
「愛衣っ!! 如何やら少し甘く見ていたようですね。――操影術近接戦闘最強奥義!! 『黒衣の夜想曲ノクトウルナ・ニグレーディニス』さらに『百の影槍ケントゥム・ランケアエ・ウンプラエ』」

 高音さんは巨大な影の使い魔を背後に背負い、無数の影の槍を放ってきた。
 俺はその影の槍を掻い潜り、接近し袈裟に切りかかる。

「はっ!」
「黒衣の盾」
「ちっ、固いな」

 影の盾によって斬撃を防がれ、体勢を整えるために間合いを取る。

「フフフフ、この最強モードに生半可な技は通用しませんよ。今度はこちらの番です!! はぁっ!!」

 影の魔法力を纏った渾身の一撃が迫るが、その一撃を敢えて避けずに迎え撃った。

「神鳴流奥義 桜楼月華!!!」

 掌に気を集束させ、攻撃を受け止めると同時に集束させた気を放出する。桜楼月華の波動は影の使い魔ごと高音さんを吹き飛ばした。

「勝負ありじゃ。この試合真一君の勝ちじゃ」

 よし、まあこんなもんだろ。
 でも全力じゃないとはいえ桜楼月華はやりすぎだったかな。高音さんの様子が気になり、彼女が吹き飛んだ方を見る。

 ――え……何で裸?

「な、ななな……」
「んんっ、試合は?って、先輩見ちゃダメです。お姉様は気絶しちゃうと……」
「脱げちゃうの?」
「はい」

 気が付いた佐倉さんが素早く近づいてきて俺に目隠しした。それでも数秒間高音さんの裸を見てしまい、男の性か忘れないうちにすぐに脳内フォルダに保管してしまっていた。

 そして俺はもう一つ問題があることに気付いてしまった。それは俺と佐倉さんは身長差があるため、佐倉さんは背伸びして抱きつくようにして目隠しをしている。
 つまり、何が言いたいかというと背中に胸が当たっているのだ。佐倉さんの胸が……。佐倉さんが気付いたら気まずくなりそうだから、なごり惜しいがなんとか離れてもらおう。

「佐倉さん。目瞑ってるから俺のブレザー着せてあげて」

 そう言ってブレザーを脱いで佐倉さんに渡した。

「もういいですよ」

 目を開けるともう爺さんもいなくなっていて俺達3人だけで、ギャラリーももう解散したらしく気配がなかった。

「う……、愛衣それに真一君。私は負けたのですね」
「そうです、お姉様。私達の負けです」
「そうですか。流石ですね真一君。んん、あら、これはブレザー……」

 高音さんは俺のブレザーを着てるのに気付いたらしい。

「はぅ…………せっ、責任取ってくださ―――いっ」

 高音さんは羞恥のあまり混乱してしまったのか、何やら凄い爆弾発言を残し、脱兎の如く走り去って行った。

「高音さ―――ん!?」「お姉様―――!?」
「すみません、私はお姉様を追いますので。制服は明日にでも返しに行きますね真一先輩っ!それから私のことは愛衣でいいですよ。では失礼します」

 そう言い残して佐倉さん、もとい愛衣ちゃんは去って行く。

 何か最後はグダグダだったけど、取り敢えず戦闘では認めて貰えてたらいいんだけどな。そう思いながら帰路に着いた。



side ???


「フォフォ、どうじゃったかな?」
「フン、面白いものが見れるというから行ったが、時間の無駄だったな」
「そうかの」
「じゃあな、じじぃ」

 あの男全然本気でやっていなかったな。
 一対二で相手を傷つけずに倒すあの技量……
 格下相手とはいえ一瞬で攻撃を見切り対処する戦闘考察力……
 それに加えて使ってはいなかったがあの魔力……
 『紅き翼』のサムライマスター近衛詠春の弟子であり、5年前のヤツと対峙した数少ない生存者……

 ――青山真一か……少しは楽しめそうだな。

「フ・・アハハハハハハハッ、青山真一お前は私自ら遊んでやるぞ」

第1話「学園案内と尾行」

side 木乃香


~女子寮1F談話室~

 もうすぐしんちゃんに会えるんやなー。
 楽しみやわー。

(そわそわ)

「どうしたのよ、このか?なんか昨日からちょっと変よ」
「そんなことないやろー」
「ううん、絶対何かあったでしょ」
「アスナには隠し事できんなー」
「今のアンタがわかりやすすぎるだけでしょ、それでどうしたのよ?」
「実はな、今日京都に住んでた頃の幼馴染がこっちに来るんよ」
「そうなんだ、よかったじゃない。その子って女の子なの?」
「ううん…男の子やよ」

 アカン、たぶん今ウチ顔真っ赤やわ。

「ふーん、男の子か」
「そやよ、アスナもいかん~?」
「うーん、私はやめておくわ。二人の再開の邪魔しちゃ悪いしね」
「そんなことないんやけどな。せやったらアスナには、後で紹介するなー」
「その時はお願いね」

 その時ウチの携帯がなり、それはじいちゃんからのメールやった。

『真一君がそっちにいったぞい』

 ウチはすぐに返信して、駅に向かうことにした。

「そろそろ着くみたいやし、ウチもう行くなー」
「はいはい、いってらしゃい」



side 明日菜


 木乃香があんなにそわそわしてる所なんて初めて見たわね。
 木乃香のそういう話聞いたことなかったけど、嬉しそうだったわね。

「臭うわね、このかからラブ臭がするわね」「こりゃ、おもしろそうね」

 声のした方へ振り返ると、そこに居たのは同じクラスの早乙女ハルナ――通称“パル”と朝倉和美だった。

「って、パル!!それに朝倉!!アンタ達なんで此処にいるのよ!?」
「まあそんなことより、追うわよ朝倉!」
「了解!こういうのは学園報道部突撃班にして2-A公式カメラマン朝倉和美にお任せあれ!!」
「ちょっと待ちなさいよ!」
「事件は待ってはくれないのだよアスナ君」
「まあまあ、ぶっちゃけアスナもこのかの相手がどんな人か気になるなるっしょ」
「え…うん、気にならないって言ったら嘘になるけど・・・・」
「それじゃ、決まりね。いくわよ二人とも!!」

 うー、木乃香ごめんね。
 やっぱり私も気になるわ。
 そうして私達は木乃香の後を追い始めた。



side 木乃香


「久しぶりやね、しんちゃん!」
「木乃香ちゃん久しぶり!!」

 電話とかはしとったから声は聞いてたけど、実際に会ったほうが安心するなー。
 実家に戻っても修行とかいうて、いっつもおらんのだからなー。
 実家なんてしんちゃんとせっちゃんに会いに帰ってたようなものやからな。
 まあいろいろ言いたいことはあるけど許したる。

「なんでここに?もしかして俺のこと待ってたの?」
「そやよ。じいちゃんがこのくらいの時間に入口で待つように言ってたからなー」
「とりあえず、荷物置きたいし寮に行ってもいいかな?」
「ええよー。それじゃ案内したるなー」

 ウチらはしんちゃんの寮に向かって歩き始めた。



side 真一


 寮の部屋のルームメイトは春日直哉というらしく軽く挨拶した後、寮の部屋に荷物を置いて外に出た。

「それで何処に連れて行ってくれるのかな?」
「それは内緒やよ。いいから行こ?」ニコッ
「うんわかった」

 このちゃんの笑顔破壊力やばい! 絶対顔赤くなってるよ。

 それから桜通り、図書館島など案内された。
 なんかデートみたいでドキドキしっぱなしだった。

 ん、気のせいか?いや後つけてる奴がいるな。
 でも素人レベルの尾行だし、たぶん害はないだろ。
 追跡者はどうとでもなると判断した俺はちょっとしたデート気分を味わい続けた。
 そうして、日が落ち始めたころ学園の中央に聳え立つ巨木前の広場へ連れてこられた。

「この木はな、世界樹って言うんよ。麻帆良名物みたいなもんやし、しんちゃんが麻帆良に来たら見せたかったんよ」
「こんなにでかい木初めて見たよ。それになんか神秘的な感じするね」
「せやろ。麻帆良に来たら嫌でも目に付く木やけど、二人で見たかったんよ」

 広場のベンチに座り、久方ぶりのこのちゃんとの会話を楽しんだ。



side 明日菜


 パルと朝倉と一緒に寮を出て、駅の方へ移動していると向こうからこのかが男子と二人で歩いている姿が見えた。

「お、目標発見!みんな隠れるよ」

 朝倉に言われて私達はあわてて物陰に隠れた。

「ラッキー!探す手間が省けたね。ふむ、やはりラブ臭を感じますな」

 二人は男子寮のほうへ向かっていた。たぶん荷物を置きに行くんだろう。
 男子のほうが寮に入って行って、このかは暇そうにしていた。

「なかなか凛々しい感じで、なんか武道でもやってそうね」
「フンフン、それでアスナはあの人のこと何か聞いてるの?」
「うーん、実家にいた頃の幼馴染とは聞いたけど……って、アンタらさっき聞いてたんじゃないの?」
「私はラブ臭を感じただけだよ」
「ハルナのこういう感覚は鋭いからね、なんかスクープになりそうかなーってね」
「はぁ、まあいいわよ。って出てきたわよ」
「「追跡開始よ!!」」

 二人は学園のほうへ仲睦まじく歩いていった。
 羨ましいなぁ、私もいつか高畑先生と……

「学園都市内ってのがあれだけど、普通にデートみたいね」
「明日は2-A新聞特別号発刊かなー」
「いい雰囲気じゃないの」

 など言いながら追跡を続け、日が沈み始めた頃世界樹前の広場にたどり着いた。
 それで、私達はこのか達が座ったベンチの近くの植え込みに隠れた。

「もう止めない?このかに悪いよ」
「そうだけど、いい雰囲気だし、もしかしたらシャッターチャンスがあるかもしれないじゃない」
「だよねだよね」
「おお、このかが彼の肩に寄りかかってるよ」

 私の横で興奮したパルが前のめりになる。そして崩れたバランスを立て直すことは出来ずにガザガザと音を立てながら植え込みへと倒れていった。

「「「あっ」」」

「え………ア、アスナ」



side 真一


「え……ア、アスナ」

 物音のしたほうを見ると三人の女の子がいた。
 このちゃんの慌てぶりをみると、どうやら友達みたいだ。

「おほんっ、なんやーみんなもしかして後つけてたんかー?」
「ごめんね、このか。後つけたりして」
「まあ、ええわー。どうせ後で紹介するつもりやったしなー」
「木乃香ちゃんの友達?」
「そうやでー」
「どうも初めまして。明日から男子中等部に通うことになった青山真一です。よろしくお願いします」
「このかのクラスメイトの神楽坂明日菜です。よろしくお願いします」
「同じく早乙女ハルナ14歳しし座のB型で趣味は――」
「はいはい、それはあとでねー。朝倉和美です。報道部2-A公式カメラマンなんだけど、一枚撮らせてもらっていいかな?あとあと(以下略)」
「ストーップ!!青山さんが面食らってるでしょうが!!」

 助かった……。
 神楽坂さんが止めてくれなかったら、たぶんずっとあの調子で質問攻めだったろうからな。
 このちゃんもニコニコしてるし、京都にいた頃よりも笑顔が増えたな。


 その後、このちゃんの部屋でささやかながら歓迎パーティーを開いてくれた。
 本来、女子寮に男子が入る事はできないが、事前に寮長に申請して許可が下りれば男子も女子寮に入れるらしい。無論一人では自由に動けないがな。今回はこのちゃんが申請してくれたみたいだった。

 パーティーが始まると内輪だけのパーティーだと思っていたが徐々に人が増え騒々しくなった。
 だけどその喧騒の中には、何故か刹那の姿は無かった。


 男子寮に戻ると男子2-A流の歓迎(どうやら俺のクラスは2-Aのようです)と質問タイム――という名の尋問を受けました。
 戻るのが遅かったから何していたのか聞かれ、うっかり答えてしまったのがいけなかったみたいだ。女子2-Aは男子人気断トツ1位のクラスらしく、今日の出来事を根掘り葉掘り聞かれてしまった。
 まあそのおかげかクラスには、意外と早く馴染めそうで安心したけどな。


 余談だが後日朝倉さんからこの日の写真を貰いました。
 本当は学園新聞に載せるつもりだったらしいけど、明日菜さんが止めてくれたらしく、泣く泣く新聞に載せるのは諦めたと語っていたよ。
 それから朝倉さんを止めてくれたお礼を言いに行ったとき、明日菜さんが「明日菜でいいわよ」と言ってくれたのでお互いに名前で呼び合うことにしたんだ。因みに俺は真一君と呼ばれるようになった。このちゃんの親友だし仲良くしたいと思っていたけど、気さくな人で本当に良かったと思う。

設定(プロローグ終了時点)

設定なので一覧から見えないようにしました。


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プロローグ「転校!と再会!」

本作品は魔法先生ネギま!の二次SSオリ主物で、私の処女作です。
にじファンで投稿した物に加筆修正を加えてUPしていきます。現在、原作で言う修学旅行編まで書いてあるので、少しずつ改稿して順次掲載していきます。
神鳴流の宗家である青山家に生まれた少年“青山真一”が麻帆良学園都市へ転校する所から始まります。
注意点はオリジナル主人公以外にもオリキャラあり、独自設定・解釈ありといった所です。
よろしくお願いします。


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「とある剣士」目次

目次です。クリックするとその話に移動できます。


第1章 動き始める運命
プロローグ「転校!と再会!」
設定(プロローグ終了時点)
第1話「学園案内と尾行」
第2話「初登校と力試し」
第3話「日常・出会い・疑惑」
第4話「闇の福音」
第5話「境界の橋崩壊事件 その後」
第6話「対話とそれからの二ヶ月」

第2章 騒がしい日常
第7話「ネギ赴任」
第8話「魔法バレ、そして歓迎会」
第9話「ホレ薬で一騒動!」
第10話「潜入!図書館島!! 前編」
第11話「潜入!図書館島!! 後編」
第12話「長谷川千雨の憂鬱」
第13話「仰せのままに、我が姫君」

第3章 吸血鬼の真祖ハイ・デイライトウォーカー
第14話「桜通りの吸血鬼」
第15話「カモ登場!~仮契約の勧め~」
第16話「尾行と襲撃」
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プロフィール

アイン

Author:アイン
小説家になろうでも活動中のアインです。趣味で書いた小説をまったり載せていきます。

よろしくお願いします。

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